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連載世界経済の革命児

自らを「邪悪になるな」と戒める二人の天才

ラリー・ペイジ/セルゲイ・ブリン (グーグル創業者)

2016/11/04

source : 文藝春秋 2016年11月号

genre : ニュース, 経済, 国際

 二人が出会ったのは一九九五年。スタンフォード大学大学院に進んだペイジが受けた新入生向けオリエンテーションをブリンが主催していたのがきっかけだった。

 米マイクロソフトが「ウィンドウズ95」を発売したこの年は、のちに「ネット元年」と呼ばれる。企業も個人も、世界中の人々がウェブサイトを立ち上げ、インターネットに情報が溢れかえった。

 やがて知りたい情報が探せなくなり、「検索」の需要が生まれる。ヤフーがネット上の情報を人力で仕分けする「ディレクトリ」で先行したが、ペイジは「ネットの利用者が張るリンク(ウェブサイト同士のつながり)の記録をランキングしたら、検索エンジンが作れるのではないか」というアイデアを思いつく。

 これにブリンが共鳴し、二人はスタンフォード大のコンピュータを使って実験を始める。「世界中のサイトをダウンロードする」という馬鹿げた作業でシステムがパンクしかかったので、二人は出資者を募って会社を作ることにした。シリコンバレーのエンジェル投資家、サン・マイクロシステムズ(現オラクル)の共同創業者、スタンフォード大学の教授らが小切手にサインした。アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾスも出資に応じた。この百万ドルを元手に二人はグーグルを立ち上げた。一九九八年のことだ。

 二人はシリコンバレーの友人宅のガレージを借りてグーグルを立ち上げた時から「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスし使えるようにすること」を使命とし、ガレージの入り口に「グーグル世界本社」と看板を掲げた。

 彼らは「情報を整理する」ためにパソコンからスマートフォンに舞台を広げ、自動運転車や人工知能(AI)の開発でも世界の先端をひた走る。自動運転では、すでに三百万キロ以上の公道実走試験を行っている。

 自分たちが強大な存在になることを予期した二人は、創業期に「邪悪になるな」という社是を作った(現在は「正しいことをやろう」に変更)。四十三歳にして神のごとき力を手に入れた二人は、一体どこまで成長するのだろうか。