米ロサンゼルスの裁判所で東京地検検事としてロ社首脳らの尋問に立ち会った堀田力さんは、亡くなる半年ほど前の2024年5月12日、P3Cについての捜査を遮られた経緯を明らかにした(「文藝春秋」同年11月号に詳細)。

「P3C関係のやつは聴くなという、それが唯一の、尋問について私どもが受けておった命令です」

「だいたい尋問事項にそういう制限すること自体が検察の姿勢としてはおかしいと思うんですが、それは政治的な、やはり理由があって、P3Cについて何かあって、それは、当然アメリカは明らかにしたくないでしょうが、日本側も外交上もそこを従わざるを得ない」

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日米のいびつな関係がもたらしたナゾ

 制約があるなか未解明に終わった部分もあるが、解明できた部分があって、そこにたまたま田中がいた。そんな側面があの事件にはたしかにある。

 きな臭い生々しさをロッキード事件が今なお湛えているのは、日米のいびつな関係が続いているからでもあるのだろう。

 米政府は、自国の利益のため日本政府に対し米国製の防衛装備品の購入を水面下で求めてきた歴史がある。首相在任中、田中はこれに応ずることを検討すると米側に伝え、対潜哨戒機の国産化計画を白紙に戻し、後に、日本政府は101機のP3Cを購入した。ロ社の側に流れた代金は1兆円を超えたとみられる。

 現在、米政府は公然と米国製の防衛装備品の購入を日本に求めている。2025年7月、トランプ米大統領は「日本は数十億ドル規模の軍用など装備を購入することに合意した」とSNSに投稿。9月4日の大統領令には「日米合意により、米国の防衛産業の基盤は強化される」とある。米国内の雇用維持のために日本の防衛がダシに使われているかのようだ。