一方で、ChatGPTがGPT-5にバージョンアップされて「冷たくなった」ことなどが話題になっていましたが、こと個人向けのAIについては、賢さより親密さ、IQよりEQに寄せた発展があるかもしれません。スマートフォンの新型が出るたびにカメラの性能が上がっても、普通の人はあまり違いを気にしないといった具合に、ひたすら賢さが求められていた状況が変わりつつあるのではないか。私も都知事選、参院選で「AIあんの」という、私の政策を学習させた政策質疑応答システムを公開していましたが、こうした政治の面でのAIアバターの活用も違った展開を見せるかもしれません。

デジタルで貢献できることは沢山ある

 ただ、業務用であったり特定の用途で用いられるAIは、まだまだ賢くなる余地があるでしょうし、活用の幅も広がっていくと思います。例えば2025年の時点で、Google DeepMindのAIによって人間が長年発見できなかったコンピューターアルゴリズムが発見されたり、OpenAIがバイオ研究に特化してチューニングしたAIモデルが新しい論文執筆に利用されたという話が出ています。そういった形で研究の中で活用が進めば、科学技術自体の研究速度も自ずと上がっていくでしょう。

 私の参院議員としての任期は6年あります。足元のAIの進化を見ても、この時代に国会の議席があることは有難いことです。永田町はいまだにファックス文化で、国会の本会議はパソコンやタブレットの持ち込みが禁止されていて――チームみらいのような小さい政党でも、デジタルで貢献できることは沢山あります。

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 これは100日プランで「他党や自治体と連携推進」と約束していた内容ですが、すでにAIについての超党派の勉強会を企画しており、与野党問わず、他党や自治体の技術導入などを中立的に支援していけたらと考えています。“ユーティリティー政党”として様々な方に便利に使っていただきたい。ある種の触媒として、政治の世界全体を活性化できるような存在になれたらと思っています。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2026年の論点100』に掲載されています。

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