ニデックでは25年6月以降、不適切な会計処理が疑われる事例が複数発覚している。中には経営陣が関与、または認識の下で、資産の減損処理の時期を恣意的に決めた可能性のある事例もあった。事実ならば悪質性が高い。
9月26日には、ニデックの会計監査を担当するPwCジャパン有限責任監査法人が、25年3月期有価証券報告書(有報)の連結財務諸表に対し、「意見不表明」とすると発表した。これは、十分な監査証拠が入手できず、有報の適正性を評価できない場合などの対応で、有報にお墨付きを与えないことを意味する。極めて異例の事態と言ってよい。
「永守さんの結果責任は大きい」
冒頭の朝礼で、永守氏の責任転嫁をするような言葉を聞いた中堅社員は、反感すら覚えたという。
「この事態に追い込まれたことについて、永守さんが背負うべき結果責任は大きい。永守さんに会社から出て行ってもらわなければ、この会社の再生はないと思う」
25年11月14日、ニデックの社長兼CEOの岸田光哉氏が26年3月期中間決算を発表する会見の冒頭、平身低頭して詫びた。
「株主、投資家、お客様、仕入れ先、東証それぞれに多大なるご迷惑をおかけし、7月24日以降、直接説明する場がなかったことをお詫び申し上げます」
東証のルールでは期末から45日以内の決算発表が求められる。9月末締めの企業は11月14日までに発表しなければならない。今回の中間決算発表は、デッドライン寸前になった。
中間決算は、売上高が前年同期比0.7%増の1兆3023億円、営業利益が82.5%減の211億円。大幅な営業減益となったのは、設備の減損処理や損失引当金などで877億円を計上したからだ。これを受け、ニデックは7月24日に発表した25年4~6月期決算を大幅に下方修正し、営業損益が一転して、614億円の黒字から264億円の赤字に転落した。
常々「一番以外はビリ」と公言する永守氏は、決算発表日も一番乗りになるよう求めてきた。20年3月期の決算発表で、同じ京都のオムロンに抜かれたために、当時のCFO(最高財務責任者)が更迭されたと噂になったことさえある。期日ギリギリの決算発表は、ニデックに異常事態が起きていることを如実に物語っている。いったいニデックに何が起きているのだろうか。
〈この続きでは、関係者への取材をもとにニデックの社内事情を掘り下げています〉
※本記事の全文(約5800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年1月号に掲載されています(井上久男「ニデック永守代表の落日」)。全文では下記の内容をご覧いたただけます。
・翌期の売上を先食い計上
・公認会計士を「俺の子分」と
・部下に「ありがとう」と言うな
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出典元
【文藝春秋 目次】前駐中国大使が渾身の緊急提言! 高市総理の対中戦略「3つの処方箋」/霞が関名鑑 高市首相を支える60人/僕の、わたしの オヤジとおふくろ
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