「タワーマンションの部屋を買える金額」高額な物件ほど値引きの金額が大きい

 ところで、高額な物件ほど値引きの金額が大きい場合もある。たとえば売り主が6億円で売りたいと考えていたとしよう。購入を検討している人が、なんとか出せても5億円だとする。

 だが、6億円の物件を買う人はそんなに多くはいない。その人が「気に入った。5億円で欲しい」と言えば、売りたい人は「もうこの人を逃したら誰もおらへんのとちゃう⁉」という不安にかられて、歩み寄る売り主もいるのだ。

「6億で買ってくれる人は、あと10年、現れないかもしれませんよ」

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 不動産業者からそう言われると、売り主も考えて歩み寄る。人によっては前述したように、「ホンマは6億で売りたいんだけども、それはしゃーないな。合わせます」となる。

 値引きされた額は1億円。この額をよくよく考えると、タワーマンションの部屋を買える金額だ。ただ、6億から1億を引いてしまうような売り主は、5000万の物件を所有する人とは金銭感覚が違う。

六麓荘町にある、光世証券創業者・巽悟朗が建てた大豪邸 ©加藤慶

売り主と買い主、両方の立場を考えて交渉

「究極的なことを言うと、情報を提供するのが私たちの仕事で、交渉するのがその対価だと思っているんです。売り主さん、買い主さん両方の立場になって考えて、どちらか一方に肩入れすれば不信感を抱かせてしまう。

 もし、売り主の6億円の物件に、5億の抵当権が付いていたとしたらどうします? 5億で売れても5億円分すべて銀行に持っていかれてしまっては、その人にはおカネが全然残らないワケですからなかなか厳しい。

 売らなければいけない事情も確かにあるでしょう。土地は永遠に同じ場所にありますけれど、人の人生は山あり谷あり。幸せがずっと続くとは限りませんからね。だからこそ、お互いの身の上事情をなるべく理解したうえで交渉するのが大切だと感じているんです」(前出の不動産業者)

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