「富豪が住み豪邸が並ぶ関西屈指の住宅街」というイメージがある芦屋。しかし、実際のところ、どんな街なのかをよく知らない人は多いのではないだろうか。芦屋に住んできた人々、芦屋に住んでいる人々はいったいどんな生活を送り、どのようなことを考えているのか。

 ここでは、芦屋の真実に迫ったフリーライター・加藤慶氏の著書『誰も知らない「芦屋」の真実 最高級邸宅街にはどんな人が住んでいるか』(講談社)より一部を抜粋して紹介する。(全4回の1回目/2回目につづく

兵庫県芦屋市にある超高級住宅街・六麓荘町 ©加藤慶

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寿司職人やコックを名店から招くホームパーティ

 ここからは、六麓荘町(編注:兵庫県芦屋市にある日本屈指の超高級住宅街)に住む人はどんな生活をしているのかを探っていくことにしよう。とある六麓荘町の住民が明かす。

「ハリウッド映画でしか観ないような豪邸を六麓荘で見ると、毎日ワイングラスを片手に豪華ディナーを食べて、パーティ三昧のような生活をしていると思われがちですが、意外にそうでもありません。日々の生活というのは実に地味で、むしろ大阪のタワマンに住んでいる人たちのほうが派手じゃないかなと思うくらいです(笑)」

 もちろん、日々の生活は地味かもしれないが、新築の住戸を六麓荘町内に建てると、近所の方々を呼んでホームパーティを開催するのが、古くからの住民の慣わしになっている。寿司職人やイタリアンのコックを大阪の名店から招く人も多いようだ。

 その中にはワンシーズンに1回、近所の人を集めてパーティをする人もいるし、気兼ねなく話せる近所の奥様方数人で、昼間からワインを嗜むひとときもある。

会費は無料でも手ぶらでは行けない

 ひとたびパーティをすると決まれば、とても豪華になると先の住民は語る。

「普通のスーパーで買った惣菜を並べるのとは違いますよ。六麓荘で実際によく見かけるのがリーガロイヤルホテルから来たトラック。某有名企業の社長さん宅ではとくによく見かけます。ケータリングの荷物を速やかに運んで、白いお帽子をかぶったシェフたちが何人か来て、邸宅内で食事を提供するんでしょうね。

 そんなパーティに呼ばれたら、会費はもちろん無料ですけれど、手ぶらでは行けない。パーティに持っていくものについて、『何がいい? リクエストある?』と訊いてみると、『じゃあ、デザートの洋菓子をお願いしようかな』と、気さくな方はちゃんとおっしゃってくれる(笑)。手ぶらでいいと言われても、さすがに手ぶらでは……ね。ワインだったり、お花だったり、呼ばれたら呼ばれたで悩みます」