2025年8月、大谷選手のピッチング内容があまりよくなかった時期に、デーブ・ロバーツ監督は「ショウヘイは先発として見ている。ただ、ポストシーズンは試合を締めるクローザーとしての状況があるかもしれない」と語っていました。これは先発ピッチャーとしては「黄色信号」なのです。1回失敗しても大丈夫、2回目は黄色、3回目は……私も投手でしたから分かりますが、監督の言葉で危機感を持つということはよくある。大谷選手も間違いなくその辺りの危機感を持っているはずです。

大谷翔平 ©文藝春秋

 私は二刀流をやったことがないので簡単にはコメントできませんが、もう少し投手として調整をする時間や、そこに集中できる時間があれば、と思います。ただドジャースのチーム状況を考えたときに、打者・大谷の存在感は無視できないものがあるので、そことのバランスを取りながらになるでしょう。

「WBCでマウンドに立つことは、現実的に考えれば…」

 注目すべきデータを挙げるとすると、打者としては、これは大谷選手もこだわりを語っていましたが、得点に直結しているOPS(出塁率+長打率)。一方、投手としては、パワーピッチャーとして結果を追求するならば、やはり三振です。それぞれ2025年レギュラーシーズン終了時点では、OPSは1.014でナ・リーグトップ、奪三振率は登板数が少ないなか11.9とかなりの水準です。

ADVERTISEMENT

 ここまではある程度、順調に復活してきていますが、二度目の手術明けであることを考えると、2026年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で投手としてマウンドに立つことは、現実的に考えれば避けるべきでしょう。無理をして負担を増やせば、その後のシーズンに影響しかねませんから。

 ただ、私たちの想像を越えていくからこそ、今の大谷選手がある。前回、2023年のWBC決勝のアメリカ戦では、最終回に大谷選手が抑えとして登板しましたが、これは全く予想外でした。打者として打席に立ちながら、いつ肩を作るのか。この試合では、たまたま前が打席の回ってこないイニングだったのでブルペンで肩を作ってそのままマウンドに上がれましたが、現役時代に中継ぎをやっていた私からすれば常識外れの出来事です。この柔軟性は、先発ピッチャーならではと言うべきか、大谷選手ならではと言うべきか。