――さらに、大学時代にはNGOも設立されたそうですね。
美波 大学1年生のときに、国際協力に関心のある学生の仲間をSNSで集めたんです。当時はコロナ禍の真っ只中だったので、Zoomを使ってテーマを決めて話し合い、活動の内容をSNSで発信していました。
大学時代に「アイドルを仕事にしたい」と思うようになった理由
――国際協力の話では行動力がにじんでいましたが、大学時代にはアイドルの世界にも飛び込んだと。
美波 アイドルのコピーダンスサークルに入って、大学対抗のコピーダンス日本一決定戦「UNIDOL」で入賞もしました。アイドルが好きだったし、大学で絶対にやりたいと思っていたんです。ステージに立つ楽しさを知り、アイドルを仕事にしたいと考えるきっかけになりました。
――そして2023年2月、大学3年生で現在所属するアイドルグループ「PinkySpice」のオーディションに合格。上智大学卒業を報告したのは2025年3月でした。
美波 現役で2020年4月に合格して、グループ加入後の2023年9月から2024年10月まで休学もしました。
休学期間はちょうど、グループの候補生として活動していた期間とも重なっていて、まだ「本当のアイドル」になれていない感覚もあり、アイドル1本でやるのはどういうことなのかと、身をもって体感したかったんです。就活で内定もいただいていたんですけど、すべて捨てました。
母は泣きながら「なんでわざわざ不安定な道へ行くの」と…
――一流企業や有名ベンチャーから内定をもらっていたそうですね。
美波 はい。でも、安定を捨てる選択肢ではあったし、これまで私のやりたいことを止めることのなかった母からもさすがに反対されました。実は、母にアイドルをやっていると話したのは、オーディション合格後に事務所と正式契約を結ぶタイミングだったんです。
親の同意が必要だったので仕方なく打ち明けたら、泣きながら「なんで安定した道があるのに、わざわざ不安定な道へ行くの」と言われました。
でも、幼い頃から「お金は消えてしまうけど、経験は自分に残る」と言っていたのは母ですし「若いうちから何でもやりなさいと言ってたのはそっちじゃん!」と、私も言い返して。私にとってはアイドルも進路の1つでしたし、最後は、自分の意思を貫きました。
――Xでは、アイドルになった背景には「何者か」になりたい思いもあったと述べていました。
美波 それもありました。英語や中国語を学び、国際協力の活動を続けて、大学合格後にアイドルのコピーダンスサークルに入ったのもすべて、自分の意思で決めてきたことではあったんですけど、ある程度、結果を想像できるものではあったんです。
でも、プロのアイドルだけは「できるかどうか分からない」と思える未知の分野だったので、「自分は『何者か』になれるのか」をみずから試そうと思いました。
撮影=佐藤亘/文藝春秋
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