名門私立の上智大学を卒業後、職業「アイドル」としてステージに立つ「PinkySpice」の美波海音さん(24)。活動を続ける中では、人生を肯定するファンだけではなく「上智卒業したのになんでアイドル?」と聞いてくるファンもいた。

 その声に対する本音を綴ったXの投稿は、たちまち拡散。一流企業や有名ベンチャーの内定を蹴ってまで選んだ「アイドル1本」の道に、迷いはなかった。(全2回の2回目/1回目から続く)

美波海音さん ©佐藤亘/文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

「秋葉原のAKB48劇場にも通いました」アイドルに憧れるようになった“きっかけ”

――幼い頃からアイドルに憧れていたのでしょうか?

美波海音(以下、美波) AKB48さんのコンセプト「会いに行けるアイドル」に衝撃を受けたんです。遠かったはずの存在が身近になって、秋葉原のAKB48劇場にも通いました。グループを卒業された大島優子さんや高城亜樹さんとハイタッチをしたこともあって。

 高校時代は、ライブアイドルの現場にも足を運ぶようになったんです。芸能活動禁止の学校でしたが卒業後にアイドルになった子がいて、友だちを応援するためにライブハウスにも行っていました。

――その後、大学時代にはアイドルのコピーダンスサークルに所属。ステージに立つ側となったんですね。

美波 大学入学直前、コロナ禍でアイドルの動画を見ているうちに、自分もやってみたいという思いが強くなっていったんです。偶然にも、入学後にコピーダンスサークルがあると知って、迷わず入りました。大学対抗のコピーダンス日本一決定戦「UNIDOL」で入賞して、アイドルを仕事にしたい気持ちも強くなりました。

 

「もう補助輪はない」大学卒業後に抱いた責任感

――サークルに参加するまで、歌やダンスの経験はあったんでしょうか?

美波 まったくなかったです。でも、好きなアイドルの動きや表情を細かく観察して、マネしていました。特に、「モーニング娘。」を卒業された佐藤優樹さんに憧れがあって、サークルでは佐藤さんの表情の作り方やマイクパフォーマンスをマネしていたんです。

 コピーダンス日本一決定戦ではマイクの持ち方、ステージの振る舞いが評価されるので、どれほど再現できるかに命をかけていました。