830万円まで増えた資産の半分が消えた

 FUJIとUFJホールディングスの暴落とほかの保有銘柄も大きく値下りして、02年秋から03年5月のりそな救済までは評価損益率が−50%前後に。830万円まで増えた資産の半分が消えました。

 02年秋、このまま人のすすめや思いつきで投資していては、どれだけ損失を出すのかわからないと不安に感じ、投資のやり方や考え方を根本的に変えるか、株式投資をやめるかを真剣に悩みました。

悩みのなかで蜘蛛の糸に見えた村上ファンドの活動

 含み損で苦しんでいた2002年、私の投資家人生を変える出来事が起こります。「村上ファンド」の登場です。

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 当時、東京スタイルという企業が、現金と有価証券1280億円を活用して500億円規模の本社ビルを含む不動産投資を計画していました。これに対して、メディアなどに露出して声高に反対を唱えたのが大株主になっていた村上ファンド代表、村上世彰氏でした。

“物言う株主”として注目を集めた村上世彰氏 ©getty

 村上氏は9.3%を保有する筆頭株主として株主総会に臨みます。村上ファンドの提案は退けられたものの、会社側は株主への還元を強めることを認め、自主的に大幅な増配と123億円を上限とした自社株買いを決議。実質的に村上ファンドの要求を呑みました。

 村上ファンドは、決算書をしっかり読み込み、資産をたくさん持っているのに安い株価に放置されていた東京スタイルへ投資し、株価が上がるように提案をして、しっかりと利益を得たわけです。

 この事件を目撃し、「私も同じように決算書を読み込んだら、本当の企業価値より安く評価されている銘柄を見つけて儲けられるかもしれない」との思いが湧きました。投資方法に悩んでいた私にとって、村上氏のやり方は1つの投資の見本を見せられたような気がしたのです。

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