夫とともにカウンセリングに来てもらった

 DVなどの被害に遭っている妻の中には、自分が被害者だという自覚を持っていない人が多くいます。だからどこにも相談に行かないのです。まず、自分は被害者だという自覚を持ってもらう事が重要なのです。

「相談に来て頂いて良かったです。ご主人にも来て頂いて、お話を伺いたいのですが、来てくれるでしょうか」

 私がそう尋ねると、和子さんはちょっと困った顔になりました。

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「なんて切り出せばいいか……今日カウンセリングに行くって事も、夫には言っていないんです」と言って、うつむきました。

「例えばですけど、『夫婦関係をもっと良くしたい』と言ってみるとか? ご主人だって、夫婦関係に全く不満がない訳ではないでしょうし、それに和子さんが『もっと仲良く過ごしたい』と言う事には反発はしないんじゃないでしょうか。娘さんも手がかからなくなる年齢ですし、『夫婦で過ごす時間を大事にしたい』と言えば、納得してくれるのではないですか?」

 噓をつくわけではありません。ただ、和子さんに「バカ」と言う事に触れるのは、私からの方がいいだろうと思いました。まずは来てもらう事です。

「夫に話してみます」

 和子さんはそう言って帰ってゆきました。そして数日後、ご主人にも来て頂けるという連絡を頂きました。

次の記事に続く 「妻は本当にバカなので、仕方ない」娘と一緒に妻を“バカ”呼ばわりし続けていた『40代モラハラ夫』が改心したワケ