掃除も料理も嫌い、娘がやらないと激怒しだす

「妻は家事全般が苦手で。それは昔からです。今は最低限食事の用意はしてくれますが、出来あいの物も多いですし、掃除は嫌いなので私がしています。それも昔からです。中学生くらいからかな、料理はほとんど娘がしていました。しないと妻が激怒するので、仕方なくやっていた、という感じでしたが」

 達夫さんは綺麗好きなので、掃除はこまめにしていたけれど、百合子さんが帰って来ると一瞬にして散らかってしまうのだそうです。脱ぎ散らかす、食べ散らかす、読んだ新聞や雑誌は片付けない。掃除をするたびにうんざりする、と達夫さんは言います。それに、娘さんの負担はかなり大きかったはず。暴力と家事の強制。今で言えば虐待です。

 娘さんは独身だけれど、ほとんど実家には寄り付かないそうです。百合子さんにカウンセリングに来てもらう事は出来るかを尋ねると、「私に対して、『あんたは頭がおかしいから病院に行け』ってよく言ってましたから、私が来た事は話せます。あとは、私のテスト結果を聞きに来るという理由なら、来るには来ると思います」

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「百合子さんは、達夫さんのどういう所が『頭がおかしい』と思っているのでしょう」

 私の質問に対して達夫さんは、「さあ」と苦笑します。

「怒った時はほぼ毎回言われます。『私を怒らせるあんたがいけない』『あんたがおかしい』って」

 その後、お2人でいらして頂いた際、「百合子さんにも心理テストを受けて頂きたいと思っています。これから、夫婦仲良く生活して頂く為には、それぞれの違いを知って受け入れていく事が大切だと思うんです。もちろん、お2人に何か問題があるという事ではなく、あくまで、お互いへの理解と自己理解を深める、という意味合いです」

 私がそう話すと、「それじゃあ、まあ」と承知してくれました。

次の記事に続く なぜ、妻は『凶暴化』したのか…「手が付けられない」「年々ひどくなってる」60代夫が悩まされる“DV妻”が誕生した経緯