「興味がないものは仕方ないですよね」

「法科大学院を卒業されていらっしゃるようですが、弁護士さんですか?」

「大学院は卒業ではなく修了といいます。法務博士です」

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「私が聞きたいのは、弁護士資格があるかどうかなのですが……」

「ありませんけど」

「え、そうなんですか」

理性が崩壊

 まどろっこしい質問に、段々と怒りが込み上げてきました。

「それで、現在はお勤めではなくて?」

「勤めてませんが何か?」

 酔いが回っていたこともあり、僕は真面目に答える気を失っていました。

「ところであんたたちは何様? 仕事してんの?」

「あんたって……」

 姉妹の姉は、ぶっきらぼうな僕の口調に引いていました。

「私は化粧品会社に勤めています」

「へえ、美容意識が高いようには見えないけど」

「ちょっと、この人最悪、行こう」

 姉妹の姉は僕から離れようと、妹の腕を引っ張りました。

「お父さんはかっこいいのに、残念な人だね」

 聞こえてきた会話に僕の理性は崩壊しました。