小野寺五典 防衛相
「(イージス艦より)割安感があり、お得。隊員の負担も軽減される」
東京新聞 2017年12月20日
昨年8月の発言。小野寺氏は1隻約1700億円のイージス艦を引き合いに出していたが、現時点で明らかに艦よりお得ではなくなった。「割安感があり、お得」と言いつつ買ったら後から高額請求されるって……。
小野寺五典 防衛相
「一刻も早く、全国を常時・持続的に防護する能力を抜本的に強化させ、国民の生命、わが国の領土・領海・領空を守り抜く」
ブルームバーグ 2017年12月19日
これは昨年12月の発言。この数日後、政府はイージス・アショアの導入を閣議決定した。なお、製造元の米国は配備に6年必要と説明しており、導入は2024年以降になると見られる。これで「一刻も早く」と言われても……。
配備予定地の住民感情は悪化
佐竹敬久 秋田県知事
「住民感情を軽視していると受け止めざるを得ず、このまま配備を強行することは不本意だ」
秋田魁新報 6月22日
イージス・アショアの配備が予定されている秋田県では怒りの声が上がっている。佐竹敬久・秋田県知事は説明に訪れた小野寺防衛相に「地元感情を軽視している」と反発。小野寺氏は「丁寧な説明をしていなかったことは申し訳ない」と陳謝した(産経ニュース 6月22日)。また、佐竹知事は7月23日に防衛省の担当者から説明を受けた後、「現段階ではノーだ」と明言した(信毎web 7月25日)。
安倍晋三首相のお膝元とも言える山口県萩市でも反発は強まっている。イージス・アショアが配備される予定の阿武町で自民系の町議を7期務める田中敏雄氏は「小さな町に、一億人のためにあんたら我慢しろ、と言っているようにとられてもしょうがない。弱者切り捨てというのかな。今の政治のやり方が見えてくる気がする」と批判した(東京新聞 8月1日)。
購入を進める背景に、貿易赤字を問題視するトランプへの“忖度”
ドナルド・トランプ 米大統領
「日本が大量の防衛装備を買うことが好ましい。そうすべきだ」
毎日新聞 2017年11月7日
政府がイージス・アショアの導入に固執するのはなぜか? 昨年11月、トランプ米大統領が来日した際、米国製軍事装備の大量購入を日本に迫った経緯がある。ツイッターには「訪日と安倍(晋三)首相との友情が、我々の偉大な国に多くの利益をもたらす。軍事とエネルギーで莫大な発注があるだろう」と書き込んだ。
トランプ氏は今年4月に行われた日米首脳会談でも安倍首相に「日本は米国から膨大な防衛装備品を買っており、それはいいことだが、我々も車やその他のものをたくさん買っている」と述べている(朝日新聞デジタル 4月18日)。
安倍晋三 首相
「米国からさらに購入していくことになるのだろう」
ロイター 2017年11月6日
安倍首相はトランプ米大統領のアピールに対して、「さらに購入していくことになる」と応えた。このとき、安倍首相が挙げた米製武器はすでに導入が決定しているものばかりだったが、今後もトランプ米大統領の要求に従い、言い値のまま、高額の武器を大量購入することになるだろう。
7月28日、防衛省は秋田市で2回目となる住民説明会を開いたが、参加者の一人からは「西日本で大変な災害があったのに、なぜこのような兵器に大金を使うのか。被災者に税金を使うべきだ」という声が上がったという(毎日新聞 7月29日)。まったくその通りとしか言いようがない。