最初の殺人

 こうして夫妻は犯行を開始する。1987年12月11日、ヨンヌ県オセールで高校から帰宅途中のイザベル・ラヴィル(当時17歳)がさらわれた。彼女は2日ほど前から夫婦が狙っていたターゲットで、このときモニクは車で家まで送ってあげると彼女を同乗させ、別の場所で車が故障したふりをしながら待機していたミシェルのもとに直行。手助けを装い車から降りたところでミシェルがイザベルを強引に自身の車に乗せ、モニクとともに自宅に向かう。そこでミシェルが何度もレイプした後に首を締めて殺害。遺体を自宅から20キロ離れた井戸の中へ投げ捨てた。イザベルの遺体はその19年後、2006年7月に発見されている。

同事件はNetflixで映像化もされた(画像:Netflixより)

 イザベルが処女だったか否かは定かではないが、1988年4月に殺害された2番目の犠牲者、ファリダ・ハンミッシュ(同30歳)は違った。同年3月、ミシェルの刑務所仲間でその時点でも服役中だった男から、俺の妻と一緒に財宝を運び出してくれとの依頼があった。

 なんでも、フォントネー・アン・パリの墓地にイタリアのギャングが強奪した50万フラン相当(約1千100万円)の金品が隠されているという。にわかには信じがたいが、ミシェルがこの話を見過ごすわけがない。そこで彼は実際にあった金品を独り占めにし、男の妻を殺害してしまう。彼女こそがファリダだったことは言うまでもない。

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 大金を手に入れたミシェルとモニクは同年6月、アルデンヌの森に建つソトゥ城を購入する。フランスには古城物件を紹介する専門の不動産屋があり、城を自宅にすることも珍しくなかったが、ミシェルとモニクは以降、ここを舞台に犯行を続けていく。

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