残忍な欲望を満たすため、12人の若い女性を強姦・殺害したフランスの連続殺人犯、ミシェル・フルニレとその妻。しかし2人の犯行もついに終わりを迎える。警察に捕まったフランス史上最悪夫婦のその後とは⋯⋯。文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/続きを読む

写真はイメージ ©getty

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「私には恋人がいます」と返した女性を殺害

 1988年7月8日にマリー・アンジェル・ドメス(同18歳)、同年8月3日にファビエンヌ・ルロワ(同20歳)が犠牲になった後、モニクがミシェルとの子供を出産。彼らは生まれたばかりの我が子までも犯行に利用する。1989年1月、当時21歳のジャンヌ・マリー・デラモーは夜行列車で、ポールとピエネットという偽名を使ったミシェルとモニクに出会った。2人は愛想が良く親切で、連絡先を交換し別れた。2ヶ月後の3月、彼女は夫婦から連絡を受ける。あなたのような良いお嬢さんに、ぜひ私たちの赤ちゃんの子守をしてほしいのだという。

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 ジャンヌは即答せず、同月18日に駅で夫婦と落ち合い、誘われるまま彼らの自宅へと向かう車に乗る。森に囲まれたソトゥ城に入り、彼女は不吉な予感を覚えた。それは間違っていなかった。いきなりミシェルが「君は処女か?」と聞いてきた。平静を装い「いえ、私には恋人がいます」と答えるジャンヌ。途端にミシェルは激昂、粘着テープで彼女の体を縛ったうえで凌辱し、事を終えると容赦なく絞殺した。

 この後、夫婦は1989年12月20日にエリザベート・ブリシェ(同12歳)、1990年5月16日にジョアンナ・パリッシュ(同20歳)、同年11月21日にナターシャ・ダネ(同13歳)、1993年12月18日にリディ・ロジェ(同29歳)をソトゥ城で魔の手にかけ、遺体を自宅敷地内や近隣の森に遺棄する。