一方、警察はそれぞれの家族から失踪届を受けていたものの、彼女らに目立った共通点はなく、ましてや同一犯により殺害されているとは考えもしなかった。ちなみに、1989年12月に殺害されたエリザベートが誘拐されたのはベルギーで、行方不明者が他国にまたがっていることも捜査を撹乱させる要因となった。
13歳の少女を殺害
ただ、ミシェルとモニクは危険を察したのかその後、ソトゥ城を保持したままベルギーに転居し、7年間鳴りを潜めてから、2000年に犯行を再開。同年5月16日に高校から帰宅途中のセリーヌ・セゾン(同18歳)を誘拐、強姦・殺害した挙げ句、ベルギー国内の森に遺体を捨てる。
翌2001年5月5日にはフランスに戻り、地元の図書館で知り合ったタイ出身のマナンヤ・トゥンポン(同13歳)をソトゥ城に連れ込み強姦し絞殺。彼女の遺体は翌2002年3月に発見されたが、全身を野生動物に食いちぎられていたそうだ。そして2003年1月9日、最後の犠牲者となるエステル・ムーザンが殺される。死亡時、彼女はわずか9歳だった。
2003年6月26日、ベルギーの都市シネイでマリー・アサンション(同13歳)が登校中の路上で、車に乗る白髪でメガネをかけた男から声をかけられた。自分も学校に行く用事があるのだが、道がわからないので案内してほしいという。不審に思った彼女は学校の方向を指差し、その場を離れようとした。しかし、男はマリーの対応に機嫌を損ね、「人を疑うんじゃない! 失礼だぞ!」と激昂。その厳格な物言いに圧倒された彼女はつい車に乗ってしまう。