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パリから世界へ、そして最後は日本へ

 1930年代になると藤田は、世界を旅して描く画家となる。ニューヨークやシカゴ、リオデジャネイロ、ブエノスアイレス、ペルーやキューバ、メキシコなどに移動を繰り返しながら絵を描いた。これまでに確立した手法は生かしながら、各地の人物や風俗を取り込んだエキゾチックな画面が多々生まれた。

藤田嗣治 《争闘(猫)》 1940年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵
© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 その後は長年離れていた日本へと舞い戻ることに。東北へ出向いて大壁画《秋田の行事》を描いたり、短編記録映画を監督したり、日本の人物・風物を多数の絵に留めていったりした。

 第二次世界大戦が始まると従軍し記録画を描いたりもしたが、戦後は再びフランスへ。子どもをモチーフにした小品や宗教画にも力を入れて過ごし、1968年、描きに描いた生涯を閉じる。

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藤田嗣治 《礼拝》 1962-63年 油彩・カンヴァス パリ市立近代美術館(フランス)蔵
© Musée d'Art Moderne / Roger-Viollet © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 同展では波乱多き藤田の人生を、時期ごとにバラエティに富む作品の数々で追いかけていく。各時代の代表作がきっちり網羅されており、さまざまなタイプの名品絵画をたっぷり観られる場としても充実しているし、同時に稀有なる人物の一代記を知るおもしろさもたっぷり味わえる。

「日本の藤田」であり続けながら、「世界のフジタ」として活躍した、20世紀の代表的日本人の姿を、会場でしっかり受け止めてみたい。