異形のトンネル、信じられないほど狭い道、常軌を逸した急カーブ……。

 日本各地には、思わず目を疑うような“仰天道路”が点在している。そんな中から、見た目のインパクトや走行のスリルが桁違いな「選りすぐりの道」を集めたのが、『日本の仰天道路』(実業之日本社)だ。

 ここでは、その中から特にインパクトのある道を抜粋して紹介する。舞台は高知県南国市の「掩体(えんたい)の中を通る道路」。実際に足を運び、現地を取材することで見えてきた、その驚くべき姿とは――。

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田園地帯に突然現れる“ナゾのコンクリ構造物”

 戦時中、飛行機を敵の攻撃から守るためにコンクリートで格納庫を造った。それを「掩体」または「掩体壕」という。

なにもわざわざこの中を通さずとも…とも感じるが、水田の中に鎮座しているほうが邪魔でもあろう

 戦争遺構として、全国にいくつか残っていて、ここ高知県南国市の高知空港近くには、高知海軍航空隊のために造られた7基が存置されている。大きいものは高さ10m、幅45m、奥行22mもある。頑丈であるために破却することが困難で、他の地域ではそのまま放置されたり倉庫に転用されたりしたものもあるが、ここではその一つ、「7号掩体」の中を道路が通っている。

3基を見渡せる場所にて。左端が1号掩体

 本来、後部は塞がっているが、そこを打ち抜き、道路と水路を通している。七つの掩体は平成に入ってから発掘調査がなされ、住居として使用された痕跡も見つかった。

 
7号掩体の内部。掩体は鉄骨で補強されている。天井がボコボコしているのは、建造の手法を示す。最初に土を盛り、セメント袋やむしろで覆ってコンクリートを流し、のちに土を取り除いた跡

 内部には建造の際のむしろの跡がある。また、機銃掃射の跡があるものもある。

説明看板が充実している

 2006年(平成18年)には「前浜掩体群」として市の史跡に指定された。説明板も充実している。

次の記事に続く 「ここは通れぬ道と本能が察する」…29kmにわたる自動車交通不能区間、“日本一の酷道”を閉ざす“最強の壁”