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進む劣化と進まぬ解体、消えた経営者…鬼怒川温泉“廃墟群”はなぜ生まれてしまったのか

2022/07/02

genre : ニュース, , 社会

 栃木県にある鬼怒川温泉のホテルの廃墟群がSNSで話題になっている。

「鬼怒川温泉といえば廃墟」

「鬼怒川温泉の廃墟群とか有名よね」

「鬼怒川温泉なんて、廃墟ホテルばっかりだったわよ」

 こうしたコメントと一緒に朽ち果てたホテルや旅館の写真がアップされており、YouTubeを検索すると廃墟ツアーと称した鬼怒川温泉の動画が数多く見受けられる。

 気になって調べてみると、どうやらバブル期に拡大したいくつもの温泉が、その後に倒産。おまけに、経営陣だけが“逃げて”、残された従業員たちが最後の日まで何とか運営し続けたという温泉もあるという。

 いったい、鬼怒川温泉で何が起きているのだろうか――。

鬼怒川温泉駅に降り立つと…

旅行客の姿が目立つ鬼怒川温泉駅

 鬼怒川温泉駅に降り立つと、周辺はコロナが収束に向かっていることもあり、平日にもかかわらず、中高年や大学生の旅行客が目に付いた。駅周辺には大型ホテルが点在しており、さびれた雰囲気はまったくなかった。

温泉街らしく、鬼怒川温泉駅前には早速足湯が
ふれあい橋近くの階段絵。観光客らしき親子が記念撮影を楽しんでいた

 そんな駅周辺から10分ほど歩くと、渓谷沿いにちらほらと廃墟となったホテルが目に付くようになる。

 鬼怒川にかかるくろがね橋から渓谷を見下ろすと、無人となったホテルが目立つようになり、風光明媚な渓谷の景色に水を差していた。観光客の気持ちを考えると、外壁がはげ落ちたホテルや、草や蔓が生い茂った建物などで興ざめしてしまう向きがあるのは事実だろう。

 

 ただ、それら廃墟群は鬼怒川温泉のごく一部の光景であり、駅からも離れた場所にあるため、頻繁に目に触れるものではない。

 ネットにアップされている写真や動画だけを見ると、あたかも鬼怒川温泉全体が廃墟化しているような印象を受けてしまうが、鬼怒川温泉全体の中でも廃墟になっているところは、ごく限られた狭いエリアのみである。

 夜の街にも繰り出してみたが、数は少ないものの、居酒屋やスナックなどはしっかり営業していた。コロナ禍によって閉店した店が多いと聞いていたが、コンサルタントとして経営に関わる仕事をしている自分にしてみれば、現在の地方都市温泉街としては頑張って営業している部類に入ると思う。

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