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しかし、バブルがはじけ、業界を取り巻くトレンドが団体旅行から個人旅行にシフトしていった際、たくさんの部屋数と大宴会場を抱えた鬼怒川温泉のホテルは、時代の流れに対応することができなかった。
「その昔、鬼怒川温泉駅は今の場所ではなく、現在は廃墟群があるくろがね橋周辺にあったんです。
当時から立つホテルは全体的に建物が古く、そもそも修繕が難しかった。くわえて、温泉が川沿いからしか出なかったことで、解体しづらい渓谷沿いにホテルが集中してしまっていました。
他にもいろいろな問題が重なって、タイミングの悪かったホテルは長らく解体されぬまま、あのような廃墟群となってしまったんです」(小野会長)
「お客が増えたからといって、再びすべての部屋を稼働させようとすると…」
コロナが収束に向かい、国内の観光客や訪日客が増えれば、鬼怒川温泉のホテルは再び従業員を増やして対応していくことになるだろう。場合によっては客室を増やし、売上を伸ばす方向に舵を切っていくホテルも増えていくはずである。
しかし、そのような策に出れば、バブル期に客室を増やし、最後は朽ち果ててしまったホテルの二の舞になってしまう可能性もある。