高畑充希の「生き方が変わった」30代

 転機は30歳を迎えた頃だった。「息をつく暇もないくらい」忙しかった仕事のペースをスローダウンし、ひとつひとつに集中するようになった。

 20代はハイペースで次から次へといろんなことにトライするのがしっくり来ていたが、余裕がない状態で何かに取り組むことをやめたのだという。「20代は『自分がどう演じるか』を考えていたが、今は『この作品が良くなるには』という視点で考えるようになった」と『日経ウーマン』2022年4月号(日経BP)で語っている。

 心を許せる仲間もいる。33歳年上の吉田鋼太郎とは、2016年のドラマ『東京センチメンタル』(テレビ東京系)での共演がきっかけで「マブダチ」に。今では「鋼太郎」「充希」と呼び合う間柄で、21歳の頃から恋愛相談をされる仲だという。Instagramでは「#パパ」のタグとともに2ショットを投稿している。

 大竹しのぶとはミュージカル『スウィーニー・トッド』での共演をきっかけに親交を深め、タメ口で恋バナをする「飲み友達」になった。キムラ緑子を加えた3人で飲みに行くこともあるという。ムロツヨシとも10年来の親友で、パパラッチを気にせず2人で食事をする仲だ。

 同世代との絆も深い。2010年のドラマ『Q10』で共演した前田敦子、池松壮亮、柄本時生との「ブス会」は、15年経った今も年に数回集まっている。「ブスと言い合えるくらい仲がいい」間柄だという。

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 同じ関西出身の有村架純とは、2016年のドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)などで共演しており、12年来の親友だ。結婚報告では2ショットとともに、有村のことを「辛い時は一緒に悲しんでくれて、嬉しい時は一緒に喜んでくれる」と綴った(※6)。

 30歳を目前にした2021年、『FRaU』のインタビューで「お仕事がある時もない時も、どんな時でも楽しく生きられると確信できて安心しました」と久々の休暇を楽んだことを明かし、「きっと30代を楽しみに迎えられる」と語っていた高畑(※7)。その言葉通り、NHK大河ドラマ『光る君へ』で藤原定子を好演し、『1122 いいふうふ』(Prime Video)では岡田将生とW主演。その共演がきっかけで、2人は現実世界でも「いいふうふ」になった。

『とと姉ちゃん』の小橋常子は、亡き父に代わって母と妹を守り、戦後に女性のための雑誌を創刊した女性だ。「当たり前の生活がいかに大切か」を胸に激動の昭和を生き抜いた常子の姿は、怒涛の20代を経て「丁寧に生活できる」幸せを手に入れた高畑自身の歩みとも重なる。13歳で9621人から選ばれたシンデレラガールは、20年の時を経て、俳優としても一人の女性としても、確かな足取りで新たな章を歩み始めている。

参照
※1 https://www.cinematoday.jp/news/N0074130
※2 https://www.nhk.jp/g/blog/e3t6bjdab/
※3 https://fujinkoron.jp/articles/-/15847
※4 https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/491092/
※5 https://www.instagram.com/p/DDWzONJTsB5/
※6 https://gendai.media/articles/-/89213?page=4

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