文春オンライン

紙面で振り返る、赤坂自民亭から加計問題まで2018年前半「政治的うそ」

うそを冷笑していては負けになる

2018/08/17

 今の自民党と政府を語るうえでのキーワードは何だろう?

「差別」と「うそ」。

 そう書いたのは東京新聞である。名物ページ「こちら特報部」は、「自民・政府『差別』『うそ』の感染爆発」と特集した(7月28日)。

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杉田水脈議員は自民党のマイノリティではない、という問題

 しかし政府与党の最近のキーワードが「差別」と「うそ」ってすごい。でも思い当たるっていうのがさらにすごい。

 記事は杉田水脈議員のあの「LGBTは生産性がない」発言を振り返り、「効果計算ずく」「首相の思い代弁で見返り期待?」との小見出し。

 この数日後、毎日新聞は「安倍さんなぜ語らぬ」と迫った(8月2日)。抗議があつまるなか杉田氏に関して「自民党トップの安倍氏の発言はない」と。

首相官邸HPより

毎日新聞のツッコミの後に杉田議員への「指導」

 では杉田氏は昨年どのようにして自民党に擁立されたのか。

《ジャーナリストの桜井よしこ氏が昨年9月、ネット上の番組の対談で「安倍さんが『杉田さんはすばらしい』と言うので萩生田さん(光一党幹事長代行)が一生懸命にお誘いした」と語った。》

 つまり首相は杉田氏を「擁立時には絶賛?」(毎日新聞)。

 するとこの記事が出た日、自民党は杉田氏に「指導」をしたとホームページ上に掲載。午後には、安倍首相が視察先で杉田氏の問題に初めて言及。「人権と多様性の尊重は『政府与党の方針』と強調した。」(朝日新聞 8月3日)

 もしかして毎日新聞のツッコミが効いたのだろうか。

 それにしても今回見えてきたのは杉田氏個人だけでなく「大げさ、この程度の発言で」と言った二階幹事長や、「同性愛は趣味みたいなもの」と言い放つ議員までいるという現実だった。杉田議員は現在の自民党では決して「マイノリティ」ではなかったのである。ギョッとする。

オモテに出てはいけないおじさん・二階俊博 ©AFLO