経済学者・成田悠輔さんがゲストと「聞かれちゃいけない話」をする連載。今回のゲストは、3月11日にニューアルバム『禁じ手』が発売となった椎名林檎さんです。(構成・伊藤秀倫)

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これでも言われちゃうのか、って静かに溜め息を漏らした

 成田 「NIPPON」(2014)という曲。そのものずばり日本や日の丸を掲げるのは勇気がいることだったんじゃないでしょうか。

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 椎名 あの曲は、その年にサッカー・ワールドカップがあったので、NHKから「日本代表の応援歌を」というオーダーをいただいて作ったんですよね。ただ私としては、大和魂とか“ガンバレ、ニッポン”というよりは、「敵ながら天晴」という境地までをも書きたかったんです。そのため英語も使っています。そういう世界大会というハレの場へ到達した強者だけが示すスポーツマンシップ、フレンドリーさを一番表現したかったんです。

 で、タイトルだけは、かろうじて最後に「NIPPON」と付けたぐらいのつもりです。

椎名林檎さん ©文藝春秋

 成田 アルファベットでちょっと薄めてますしね。

 椎名 そう。それでも、「ニッポン」って読ませていることが「大日本」みたいなイメージを喚起するとか言う方も当時はいらっしゃいましたね。私としては「ニホン」だと、ふにゃっとなっちゃう、「ニッポン」のほうがリズミカルだからいいと思っただけなんです。

 成田 そういう文句が来るだろうな、って予想されてましたか?

成田悠輔さん ©文藝春秋

 椎名 言われるだろうなとは思った、そう言われないように自分なりに工夫していた分、これでも言われちゃうのか、って静かに溜め息を漏らしたくらいです。日韓関係があまり芳しくなくなり、ちょうど旭日旗が突然、問題視されるようになった瞬間でした。