国旗を掲揚する係だった小学生時代
成田 粘着されますよね。特にジャケットや映像、グッズで日の丸や旭日旗のイメージを使うと、左右から叩かれて誤解されたり。メリット少なそうじゃないでしょうか。
椎名 メリットはあります。
成田 どういうメリットでしょう?
椎名 私としては、普段は自分が日本人である自覚もあまりないのに、こうしてハレの場に立って「俺は、私は、国を背負っちゃってるんだな」と選手たちが畏怖する厳かさを書いたつもりで。聴く人に対しても“自分の国に自分がいる”という当たり前のことに気づく瞬間、はためく各国旗を見上げたときのあの気持ち、何かへ打ち込んだ経験のある人ならわかるよね、という目くばせ、最後の仕上げとしてピンポイントの演出効果があったと思います。
でも、毎度毎度、騒がしくはなりますよね。私たちが小っちゃい頃はそうでもなかったんですよ。そう言えば私、小6まで、運動場のポールに国旗を掲揚する係だったんです。
成田 そんな係が。
椎名 何かの行事のときに全校生徒で校歌を歌う間に、ちょうどよくてっぺんまで国旗と校旗を上げる係が私を含めて3人ぐらいいて。旗を畳むときもこうやって恭しく。今は、国旗掲揚とか儀式ごとなくなっちゃったんじゃないですか。
成田 国旗掲揚・国歌斉唱系はいろいろ揉めて少なくなってるかもしれませんね。
椎名 たぶん。
成田 この数十年の日本って、売れてるミュージシャンが国家や政治に一言でも触れることがタブー化しちゃいましたよね。椎名さんだけリスクを冒されていますが(笑)。なんでなんだろうって不思議です。
椎名 ほんとそうなんですよ。ほんの20年ぐらい前に敗戦したみたいな雰囲気になってません? 急にあれこれタブー視され始めた。だって、以前は国旗なんて普通の家が玄関に飾っていたし、お正月の時は車のフロントに差したりしていましたよね。
※本記事の全文(約10500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(椎名林檎×成田悠輔「『日本人が作ったってもろ分かってしまう音像を…』椎名林檎が語った“この国”と“野心”」)。全文では、以下の内容についても語られています。
・局所的にしか通じなくなっても、一生物になるなら本望
・日本でもミュージシャンが選挙応援する日が来る?
・固定資産税と相続税のこと、歌詞にしましたもん

