経済学者・成田悠輔氏がゲストと「聞かれちゃいけない話」をする連載企画。第6回目のゲストは、モデルの冨永愛さんです。
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ランウェイはなくならない
冨永 最近はいろんな境界があいまいになっていて、インフルエンサーやタレント、俳優とかも、どんどんモデルの領域に入ってきているから、モデルはどんどん厳しくなりますよね。
成田 だって、BLACKPINK(韓国の女性4人組アイドルグループ)のメンバーとかがトップブランドの広告PRモデルを占拠してますもんね。
冨永 それに、今やランウェイを歩くモデルよりも、観に来ている人の方が注目を浴びてるんですから。
成田 客席を映すためにランウェイやってるみたいな。
冨永 たぶんそっちのほうが、ランウェイそのものよりもエンゲージメント(広告効果)が高いんでしょうね。おまけに観に来る人たちも最新ルックを着ているから、客席もランウェイみたいになってる。ランウェイで最新ルックを発表しているのに、客席も最新ルックという。なめんじゃないよ、っていう話ですよ。
成田 ショーを見る方と見られる方が逆転している不思議な現象ですね。
冨永 そう。どんどん不思議な方向に進んでいて、どうなるんだろうなって。
成田 そうすると、モデルっていう仕事に未来はあると思われますか? ファッションショーの未来はどうなるんだろうと思いまして。ショーにモデルさんって本当にずっと必要なのかなって。
冨永 一部は必要だと思います。ランウェイはなくならないと思うから。
成田 無人のショーとか。
冨永 AIを使った演出とかは出てくると思いますけど、人間のモデルが歩くランウェイはなくならないとは思います。少なくはなるだろうけど。ということは、モデルも少なくなるということですよね。雑誌もなくなりはしないけど、減るだろうし。
成田 「モデル」という看板がついた狭い意味でのモデルはだんだん縮んで、代わりにモデルとは呼ばれないモデルっぽいものが広がっていく予感がしますね。インフルエンサーからロボットまで。
冨永 きっとそうですよね。

