アヘンの代わりに奴隷になった幼い兄弟
アヘンが通貨になることで、持つ者と持たざる者が生まれた。そして貸付や借金、利子といった風変わりな支配形態も生まれた。ケシ大農家のワ人が穀物や水牛を余分に持っていれば、飢えた一家に貸しつけることもできる。借金をアヘンで返済できなければ、子供で支払えば事足りる。ライもそうやって奴隷になった。
1940年に生まれたライは、パンワイ近くの集落で一族と暮らしていた。山の中腹に小屋が数軒集まり、まわりは過酷で不毛な土地だった。米やケシをその粘土質の土地で育てようとするのは、石のなかから命を生み出すようなものだった。ライの家族はたいてい飢えていたので、近所のアヘン農家に借金しなければならなかった。
ある日、谷をいくつか隔てたその農園から貸し手がやってきた。その男はライ家の草葺きの小屋に入ると、葦のように細い男の子ふたりを指差し、名を尋ねた。
ひとりはライ、もうひとりはリー、うちの息子です。
あのふたりをよこせば借金は帳消しにしてやろう。
ふたりはまだ思春期前だったので、とても価値があった。あと10年は奴隷にしておける。ライと弟は両親に別れを告げ、新しい主人といっしょに故郷の小集落を囲む木の栅から出ていった。ふたりとも首を狩られる恐怖から、それまで栅の外に出たことはほとんどなかった。
一行は主人の高床式の丸太小屋にたどり着いた。少年たちにとって、過去見たなかでもっとも大きな建物だった。床下は糞まみれの水牛小屋。彼らが眠ることになっている場所だった。何年もの重労働のあいだに、汚れはふたりの肌にこびりついた。食事にありつくのはいつも最後で、主人の残飯を食べて生き延びた。その屈辱感は一生、ライにつきまとった。アヘン通貨の恐るべき力への畏怖の念も同じだ。それは息子たちを母親から引き離し、二本足の家畜に変えてしまう力だった。
ある晩、ライはささやき声で眠りから覚めた。父親だった。
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