キャンプ場近くで見つかったバラバラ遺体

 アラスカに渡ってから13年目になる2003年10月、トレッドウェルは恋人とともにカトマイ国立公園を訪れて、秋になると熊がサケを食べるために現れる小川の近くでキャンプを張った。

写真はイメージ ©getty

 だがこの年はサケの遡上が例年ほどではなかったせいで熊の出現が少なく、予定を1週間ほど延長。その後、衛星電話を使って帰宅のために迎えの小型飛行機をチャーターした。

 ところが翌日になって、迎えに来た飛行機のパイロットがキャンプ地まで赴くと、そこには1頭の熊がいるだけだった。報告を受けた公園管理者が捜索すると、トレッドウェルの頭や腕、背骨の一部などがキャンプ地から少し離れたところで見つかった。

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 トレッドウェルの恋人は、引き裂かれて潰れたテントの横で、一部が土に埋められた状態で発見された。

 キャンプ地にいた熊は警備員によって射殺された。

 現場の状況から、トレッドウェルたちが熊に喰われたことは明らかだった。

 サケの不漁による餌不足が熊襲撃の原因の一つだったと考えられるが、それまでのトレッドウェルの不用意な熊との接し方から「彼の死は悲劇だが、容易に想像できたことだ」との声も聞かれた。

 その死から2年後の2005年には、トレッドウェルが生前から制作に関わり、自身の半生を描いたドキュメント映画『グリズリーマン』が公開されている。

次の記事に続く だからヒグマは日本人カメラマンを襲った…地元テレビ局の餌づけが発覚《星野道夫ヒグマ襲撃事件》の衝撃の真実(日本の熊事件・平成8年)

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