2011年夏、ロシア・カムチャツカ半島で起きた衝撃的な熊襲撃事件。45歳の父イゴールと19歳の娘オルガが散策中に熊の襲撃に遭い、父は即死、娘は生きながら食べられる中、最期まで母親に電話をかけ続けた。「お母さん、熊が私を食べている」という凄惨な状況の中で交わされた最期の会話とは。

生きながら食べられる恐怖の中での最期の言葉

 カムチャツカ半島のペトロパブロフスクにて、父娘が美しいパラトゥンカ川へ散策に出かけた日、悲劇は突然始まった。車を川のほとりに停め、森の小道を歩いていると、高さ2メートルにもなる草むらから熊が突然飛び出してきたのだ。

写真はイメージ ©getty

 イゴールは熊の腕に頭部を直撃され、悲鳴も上げる間もなく即死した。オルガは必死に逃げたが、100メートルも行かないうちに熊に追いつかれ、足を掴まれてしまう。

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 絶体絶命の状況で、オルガは携帯電話を取り出して母親に電話をした。

 「お母さん、熊が私を食べている! 痛い、助けて!」

 最初、冗談だと思った母親だったが、娘の悲痛な叫び声と受話器から聞こえる獣のうなり声で、恐ろしい現実を理解した。オルガは「子熊も3頭いて、親を真似るようにして咬みついてきた」と伝えたという。

 およそ1時間、母親はオルガを励まし、脱出のためのアドバイスを続けた。しかし、それも徒労に終わった。最後にオルガは「もはや痛みを感じなくなった」と言い、「お母さん、いろいろとごめんね。許してね。大好き」とつぶやいた後、声は途絶えた。

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