「これからは現金が溶けていくインフレ時代。資産防衛に動くのはいまです」。経済アナリストの朝倉慶さんが喝破する新時代の思考法。
(あさくらけい/1954年、埼玉県生まれ。経済アナリスト。(株)アセットマネジメントあさくら代表取締役社長。故・舩井幸雄氏が「経済予測の超プロ・K氏」と紹介し、一躍注目される。最新刊『株はもう下がらない 誰も止められない世界的金融インフレの暴走』。)
30年にわたり続いたデフレ時代において、1万円の価値は1万円のままでした。しかし物価が8%上がれば、円の価値は何もせずに8%消えます。たとえば、月収25万円の家庭では、25万円×12カ月×0.08=24万円。これが年間消えているのと同じです。インフレとは、見えざる税金のようなものです。国の税収は増え、円の価値が下がることで国の借金も実質的に減り、財政赤字が縮小されるメリットはありますが、国民の負担は増えるのです。苦しい国民を“助ける”ために行われる積極財政(財政支出、補助金、減税)も、市場にマネーを提供することにほかならず、一層インフレが進み、円の価値は下がります。つまり、現金の資産価値はどんどん失われていくのです。
一方で、株価は上がります。値上げが容認されるなかでは収益を上げる企業の株は上がります。また、国民は現金を株に移しますから、需要が増えて、また株価が上がる。あわせて大事なのは、政府も日銀も株式市場を必ず“救う”ということです。株価の暴落は景気や雇用、消費を悪化させます。そうならないよう、株が下がれば、即座に金融緩和と、ETFによる株の買い支えが行われます。金利が上がれば、国債を購入して金利を下げます。日銀も政府も、株価の暴落を決して起こさせないのです。この市場を崩壊させないシステムは、しかし株の暴騰、インフレを止めることはできません。
つまり――株はもう下がらない。あなたを守るのは現金ではない、高騰し続ける株なのです。
全般的に上昇モードですからどの銘柄もいいと思いますが、一例をあげますと……《続く》
※本記事は2025年12月時点の情報に基づいて制作しています。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。
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