「10年で10倍に成長」する株は、どう選べば見つかるのか? この質問に対し、元国会議員で外資系証券マンの経験も持つ杉村太蔵氏は、政府が打ち出す「骨太の方針」を基に選ぶのがおすすめだと話す。
『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(文藝春秋)から、杉村太蔵氏が骨太の方針を基にリストアップした「今後10年で10倍に成長することが期待される企業」のうち、アメリカ政府にケンカを売ってまで企業買収を仕掛けた日本製鉄を紹介する。なお本記事の内容は、あくまで杉村太蔵氏の銘柄選定基準を紹介するものである。
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「今の日本でもっともケンカの強い男」が経営する会社
私が今、日本の経済界でもっとも畏敬の念をもって拝め奉っている経営者が、日本製鉄の橋本英二会長です。本当にすごい。私は今の日本でもっともケンカの強い男は橋本会長ではないかと思いますね。
USスチール買収成功劇。これは日本の産業史に残る偉業です。皆さんはあの、橋本会長の記者会見をご覧になりましたか? 日本の経済界のトップがアメリカの大統領を、会見中2回も呼び捨てにし、悪し様に言うなんて前代未聞だと思います。これは世界中でも話題のニュースになりました。あれは本当にすごい迫力でしたね。
もちろん、見ていて冷や冷やはしましたが、一方で日本人としての誇り、そして経営者としての挑戦、「鉄は国家なり」という言葉があるように、まさに国を代表しての「国家と国家の交渉」であり、「対等なビジネスパートナーとして認めさせるんだ!」という強い意思表示だった、と受け止めています。あの迫力が、後に「アメリカ政府に黄金株を持たせる」という、人類史に残る知恵を絞り出す結果となりました。
そもそも、アメリカ政府やUSスチールの経営陣ですら「日本製鉄に買ってもらわないと存続できない」と認識するほど、USスチールの経営は苦しくなっていました。ところが、USスチールはアメリカにとって特別な会社なんですね。
USスチールとはどういう会社かというと、1901年、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーと金融王ジョン・ピアポント・モルガン(JPモルガン)の2人によって誕生した会社ですカーネギーが築いた「カーネギー・スチール社」を、JPモルガンが買収してフェデラル・スチールと統合したことで生まれたのが、USスチールです。



