「露木さん」とは露木康浩前警察庁長官(昭和61年)。前任の中村格元長官(同)は太刀川氏を刑事局長ではなく、交通局長に起用する方針を早々に決めていたと言われていたという。

前警察庁長官の露木康浩氏は、高市内閣の官房副長官に就任 ©文藝春秋

「ただ安倍晋三元首相の殺害テロを未然に防げなかったことで引責辞任することとなり、急遽、同期の露木氏が長官となりました。昨年1月の勇退に伴って太刀川氏を長官の待機ポストとされる次長に起用する人事を決定。次期長官に事実上指名したかたちとなっていました」(同前)

 一方で、別の警察関係者は「迫田さんは“貰い事故”に遭ったようなものと同情する声があります」と語る。大川原化工機の冤罪事件は2018年10月、警視庁公安部が強制捜査(家宅捜索)に着手。20年3月に社長ら3人が逮捕・起訴された。だが1年以上が過ぎた21年7月に至り、冤罪の疑いが高まったことで起訴が取り消され、会社側は不当捜査を訴えて損害賠償訴訟を提起。23年6月、東京地裁の公判中に現職警察官から捜査を「捏造」とする爆弾発言が飛び出して、同12月に警視庁側(東京都)が敗訴した。さらに25年6月には、違法捜査を再び認定した東京高裁判決が確定している。

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迫田氏は冤罪事件の“禊の顔”となった

 迫田氏は強制捜査の着手時、経済安全保障対策の柱である不正輸出事件の捜査を監督する警察庁の外事課長の立場にあり、起訴が取り消された当時は警視庁の公安部長として捜査の総責任者だった。1審敗訴の直後、警視庁のトップの椅子に座ることとなったが、警察の内部検証では、迫田氏自身も事件の捜査期間中に在任した歴代公安部幹部の1人として事情聴取を受け、5月に控訴審判決で捜査の違法性が改めて認定されたことを受けて、8月には謝罪会見まで開く事態となった。

「外事部門のエースとして、信頼回復のために人身御供にされたようなものです。迫田さんは逮捕に直接関与はしていなかったが、“禊の顔”となって再発防止の道筋をつけ、1年で総監を退くことで公安捜査の現場が再起を期すきっかけにするというストーリーが描かれたとの見方があるのです」(同前)

この続きでは、警察トップ人事の異変について関係者がコメントしています〉

※本記事の全文(約5600字)は月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(青山次郎「高市早苗人事で変わり始めた警察キャリアの“人生双六”」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・「長官は社長、総監は東京支社長」?
・「もしもう一度やるなら……」
・高市早苗首相の肝煎り人事も影響

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