『ランニング・マン』

 次も、80年代のアクション映画好きには、「おっ」と思えるような一本。

 かつて『バトルランナー』という邦題で公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演作と同じ、スティーヴン・キングの小説を原作にしている。なぜ今さら『バトルランナー』を?―-と観る前は思ったが、まさに今こそ作られるべき内容に仕上がっている。

『ランニング・マン』

 舞台は、現在よりもさらに経済格差が広がった近未来のアメリカ。庶民は「ランニング・マン」というリアリティショーに熱狂していた。それは、一般公募から選ばれた参加者が「ハンター」たちの追跡から30日間逃げ切ることができれば、多額の賞金を得られるというもの。捕まればカメラの前で殺される、過酷なデスゲームだ。娘の医療費を稼ぐため、主人公のベンが番組に参戦するところから物語は始まる。

ADVERTISEMENT

『バトルランナー』はシュワルツェネッガーが圧倒的な強さでハンターたちをなぎ倒していったため、楽しいながらも大味な印象があった。それに対して本作は、終盤まで緊張感が持続されている。ドローンなどを使った追跡、AIを駆使したフェイク映像による視聴者の先導、そして視聴者自体がSNSを通じて参加者を監視・通報するシステム――そうした現代の最先端テクノロジーの一つ一つが主人公の前に立ちはだかり、次から次へとピンチを生み出していく。それをどう切り抜けていくか――。エドガー・ライト監督らしい、スピード感とユーモア性に満ちたアクションの数々も冴えわたり、ハラハラドキドキしっ放しだった。

 ベンを演じるグレン・パウエルも良い。シュワルツェネッガーに比べて優男のイメージがあるので当初は頼りない感があったが、飄々とした感や太々しさがベンのキャラクターにピッタリ。周囲の人間の協力を仰ぎながら、ピンチの連続を切り抜けていく様を心から応援したくなる。

『ランニング・マン』
監督:エドガー・ライト/原作:スティーヴン・キング/出演:グレン・パウエル、ジョシュ・ブローリン、コールマン・ドミンゴ/2025年/イギリス・アメリカ/133分/配給:東和ピクチャーズ/©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved./1月30日(金)より全国公開