「鬼さみぃんだが……?」
風速10m弱の寒風が吹き荒れた、令和8年の北九州市二十歳の記念式典(成人式)。“ド派手”な衣装や、やんちゃな振る舞いが注目されがちなこの街の成人式だが、その喧騒の渦中に、驚くほど地に足のついた若者の姿があった。
会場で一際目を引く、煌びやかな袴姿の男性。今年20歳を迎えた彼は、建設現場で汗を流す現役の大工だ。
◆◆◆
衣装代30万円は「自腹」
今日は4時半起きでした。彼女にプレゼントする花を取りに行って、袴の着付けに行って、いまって感じですね。
衣装はだいたい30万円くらいかかりました。安くない金額ですけど、みんなそれくらいかかってるんじゃないですかね。高校卒業してすぐに大工の仕事を始めて、いま給料は月々20万円前半くらいもらえとって、支払いは全部自分で済ませています。
給料は特別高いわけではないですけど、まあ、いまの自分の実力かなと思っています。
もうちょい仕事できるようになって、給料が上がったら、彼女との結婚も考えています。20代前半にはしたいですね。
それで、自分の家を自分で建てられたら最高ですね。暮らしやすいように、できるだけ、大きい家を。地元、北九州市に近いところがいいですね。
あ、北九州の成人式といったら、やっぱり衣装が取り上げられるじゃないですか。派手さにいろいろ思うところがある人がいるかもしれません。けど、これは自分がやりたくて、やっとうけん、人の目は気にしていないですね。
◆◆◆
見た目の派手さとは裏腹に、彼の口から出たのは「結婚」と「マイホーム」という昭和的とも言える夢だった。手取りが決して多くはないなかで、自らの腕一本で生活を組み立てようとするその姿勢に、「荒れる成人式」のステレオタイプは通用しないのかもしれない。
一方で、煌びやかな振袖が目立つなか、ひときわ落ち着いた柄の着物を纏う女性がいた。話を聞けば、それは「母の姉から受け継いだもの」だという。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。



