「鬼さみぃんだが……?」 

 風速10m弱の寒風が吹き荒れた、令和8年の北九州市二十歳の記念式典(成人式)。“ド派手”な衣装や、やんちゃな振る舞いが注目されがちなこの街の成人式だが、その喧騒の渦中に、驚くほど地に足のついた若者の姿があった。

 会場で一際目を引く、煌びやかな袴姿の男性。今年20歳を迎えた彼は、建設現場で汗を流す現役の大工だ。

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建て方も内装も手がける大工として働いている

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衣装代30万円は「自腹」

 今日は4時半起きでした。彼女にプレゼントする花を取りに行って、袴の着付けに行って、いまって感じですね。

 衣装はだいたい30万円くらいかかりました。安くない金額ですけど、みんなそれくらいかかってるんじゃないですかね。高校卒業してすぐに大工の仕事を始めて、いま給料は月々20万円前半くらいもらえとって、支払いは全部自分で済ませています。

 給料は特別高いわけではないですけど、まあ、いまの自分の実力かなと思っています。

彼女にプレゼントする花束

 もうちょい仕事できるようになって、給料が上がったら、彼女との結婚も考えています。20代前半にはしたいですね。

胸元に光るのは彼女にもらったクロムハーツのネックレス

 それで、自分の家を自分で建てられたら最高ですね。暮らしやすいように、できるだけ、大きい家を。地元、北九州市に近いところがいいですね。

晴れやかな表情で夢を語る

 あ、北九州の成人式といったら、やっぱり衣装が取り上げられるじゃないですか。派手さにいろいろ思うところがある人がいるかもしれません。けど、これは自分がやりたくて、やっとうけん、人の目は気にしていないですね。

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 見た目の派手さとは裏腹に、彼の口から出たのは「結婚」と「マイホーム」という昭和的とも言える夢だった。手取りが決して多くはないなかで、自らの腕一本で生活を組み立てようとするその姿勢に、「荒れる成人式」のステレオタイプは通用しないのかもしれない。

 一方で、煌びやかな振袖が目立つなか、ひときわ落ち着いた柄の着物を纏う女性がいた。話を聞けば、それは「母の姉から受け継いだもの」だという。

次の記事に続く 「あ、でも、仕事はしんどいかもしれない」…自他共に認める“常に能天気”な女性(20)がふともらした“切実な本音”

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