時折、雪がちらつくほどの冷え込みを見せた令和8年の北九州市二十歳の記念式典。色とりどりの振袖や、奇抜なオーダー衣装が目立つなか、落ち着きすら感じさせる柄の着物を上品に着こなす女性がいた。
「これまで20年生きてきて、しんどかったなーと振り返ることがないのが取り柄かもしれません」
自他共に認める“能天気”な性格だという彼女に、これまでの半生、そして今後の目標を聞いた。
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母の姉から受け継いだ振り袖
最近、20歳の誕生日を迎えて、お兄ちゃんに飲みに連れて行ってもらったんですよ。嬉しかったですね。初めて飲んだお酒はカルーアミルクでした。甘くて美味しかったです。
今日は5時に起きて。とりあえず自分で化粧して、髪と着付けのために6時に美容院に行って、8時過ぎくらいに家に一旦帰って、ちょっと温まってから、会場まで来ました。
周りは衣装にお金をかけている人も多いですけど、私の場合、今日の振袖は母の姉が着ていたものを受け継いで着ているので、そんなに費用がかかっていないんですよね。将来的にもしも女の子ができたら、この振袖を継いでいけたらいいなと思います。「それまで、よれなければ」ですけど(笑)。
これまで20年生きてきて、しんどかったなーと振り返ることがないのが取り柄かもしれません。
あ、でも、仕事はしんどいかもしれない(笑)。普段は軽食を出すお店で働いているんですけど、出勤時間がバラバラだったり、休日も決まっていなかったりするんですよね。
でも、常に能天気な性格ですし、深刻に考えすぎることはありません。大人になってからの目標もいい意味で「とにかく元気で過ごしたい!」といったところです。
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不規則な労働時間といったシビアな現実に直面しながらも、「深刻に考えすぎない」と笑い飛ばす彼女。先行きが不透明な時代だからか、高望みせず、家族の着物を受け継ぎ、ただ元気であることを願う。そのしなやかさこそが、彼女たちの世代の強さなのかもしれない。
そんな“伝統”を大切にする彼女とは対照的に、まるで海外ラッパーのように“最新のハイブランド”で全身を固め、オーラを放つ男性がいた。
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