ゾンビコメディの『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04年)以来、映画マニアの心を刺激する快作でキャリアを重ねてきたエドガー・ライト監督。近年は『ラストナイト・イン・ソーホー』(21年)のように、エンタメを意識しつつ、クールでスタイリッシュな演出で魅了してきた彼の最新作が『ランニング・マン』だ。

エドガー・ライト監督 ©︎共同通信社

「私のファンなら、『ランニング・マン』と初期に撮った『ショーン~』の共通点を発見できるかもしれません。両作品とも、オープニングからラストまで映画を観る人が主人公と同じ視点、同じ時間を過ごす構成だからです。『ランニング・マン』では主人公、ベン・リチャーズの視点を通し、信じがたい攻防や逃走サバイバル、彼が参加するテレビ番組を体験することができます。出てくる情報は、すべてベンが感知できるもの。アクションシーンで別の場所への急なカットインも避けました。つまり“観客体感”型ムービーということ。じつはこれ、演出する側としても、ハードルの高いチャレンジなんです」

©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

2度目の映画化となるSF小説

『ランニング・マン』での自身のアプローチをそう語り始めたライト。同作は、リチャード・バックマン(あのスティーヴン・キングの別名義)の原作を映画化したもの。すでに1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で『バトルランナー』として作られており、今回が2度目となる。

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「プロデューサーのサイモン・キンバーグから本作の依頼を受けて『これは大チャンス』だと確信しました。一度映画になった原作の“再映画化の意味”を探求するのは貴重なチャンスですから」

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 貧富の差が激しくなった社会で、仕事を失ったベンが、テレビ番組のゲームに参加し、賞金獲得をもくろむ。それは……有能なハンターたちや、番組の視聴者に命を狙われながら、30日間も逃げ続ける究極のデスゲーム! ライトの過去の作品と比べると、どこかシリアスでダークな香りも予感させる。このあたり、大胆なチャレンジを繰り返すエドガー・ライトらしいが、本作のテイストについて彼は次のように説明する。