格差が広がる現代社会を無意識に反映?
「『ショーン~』や『ベイビー・ドライバー』(17年)など、私はかなりアクション重視の作品を撮ってきました。ですからその流れを受け継ぎ、今回も自分らしいスタイルだと実感します。ただ、たしかに今回の『ランニング・マン』は格差が広がる現代社会を無意識に反映しているかもしれません。1982年に書かれた原作は、残念ながら今の世界を予言していたかのよう。私が今回の脚本に取りかかったのは4年近く前で、作品の先見性はコントロールしていませんが、世界は良い方向に変わっていませんよね? 原作や『バトルランナー』と異なり、今回の映画ではゲームが全世界で行われます。つまり逃げ延びる先や、隠れ場所も無限に広がる。ロードムービーのテイストも濃厚ですし、何より、今の社会を生きる世界中の多くの人は、弱者のベンが、巨大なネットワークビジネス全体と対決する構図に共感できるのではないでしょうか」
映画オタクでも有名なライトに、『ランニング・マン』と共通するディストピア(反ユートピア)の映画で、最も影響を受けた作品を挙げてもらった。
「ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』(81年)は傑作。殺人ゲームを描いたイタリア映画『華麗なる殺人』(65年)も知られざる佳作です。しかし極めつけは、テリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』(85年)ですね。10代で観て、脳の回路が完全に変わりました(笑)。いま改めて観ると、どこまで撮影に苦労したのか手に取るようにわかります。映画史での“偉業”と断言しますよ」
エドガー・ライト 1974年、イギリス生まれ。10代から映画制作に興味を持ち、20歳で『A Fistful of Fingers』(94年)を制作、劇場限定公開された。その後、TVドラマの制作を経て、サイモン・ペッグと共同脚本を務めた映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04年)で初監督。『ベイビー・ドライバー』(17年)でハリウッド長編映画監督デビュー。近年の監督作品に『ラストナイト・イン・ソーホー』(21年)がある。
INTRODUCTION
世界で累計4億部以上売り上げたベストセラー作家、スティーヴン・キング原作の映画化。『ベイビー・ドライバー』(17年)のエドガー・ライトが監督を務めた。娘のためデスゲームに身を投じるベンを演じるのは、トム・クルーズとの師弟関係が話題となったグレン・パウエル。トム直伝の走る姿や、ド派手なアクションシーンを披露している。
STORY
一握りの富裕層と、圧倒的多数の貧困層の格差社会の近未来。人々の最大の娯楽は、様々な参加者が命を賭けて巨額の賞金に挑む“デスゲーム”リアリティショーだ。職を失いどん底の生活を送るベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は、重病の娘の医療費のために、最も過激なデスゲーム「ランニング・マン」に応募する。30日間逃げ延びるだけで莫大な賞金が得られるが、実態は、高度な殺人スキルの訓練を積んだ殺戮ハンターが執拗に挑戦者を追跡する、過去生存者0の超過激なデスゲームだった──。
STAFF & CAST
監督:エドガー・ライト/脚本:マイケル・バコール、エドガー・ライト/出演:グレン・パウエル、ジョシュ・ブローリン、コールマン・ドミンゴ/2025年/アメリカ/133分/配給:東和ピクチャーズ/©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
