「ペチコートって何ですか?」男性のICだからこその難しさ
――多賀さんは日本において男性初のICですが、男性のICだからこその難しさなどありますか。
多賀 難しさというか、女性の俳優の準備のケアが直接できないので、現場で他の女性スタッフの方の協力があって成り立っています。あとは女性用の衣類や下着の名前といいますか、知らない名称がたくさんあって。「えっ、また聞いたことないものが増えてる」「ペチコートって何ですか?」みたいな。
そういう知識のアップデートをしていかないと遅れちゃうな、と思うことは多いです。あとはやっぱり、女性の俳優の方から「『男性のICが入る』という話だけを聞いた時は、少し緊張しました」というお話を聞くこともあったので、初めて会う面談時になるべく安心していただけるようにコミュニケーションをとっています。
――確かに、男性相手だと「相談しづらいんじゃないか」と身構えてしまう女性もいるかもしれません。
多賀 そうですよね。実際にお会いしてお話をして、現場が終わったら「多賀さんに入ってもらえて本当に良かったです」と言ってくださったので安心したんですけど。どうしても異性相手だと不安もあると思うので、ちゃんと不安を取り除けるように努力したいと思っています。
ICを選ぶ側の選択肢を増やせるようになればいい
――今後、ICとして挑戦したいことや、携わりたいことなどありますか。
多賀 僕はオープンリーゲイのICとして活動していて、最近は男性同士のインティマシーシーンがある作品が増えてきているので、声をかけていただければ何かお役に立てるのではと思います。
あとは、どんなインティマシーシーンでも対応できるようにもっと自分の経験を増やして、どうやって安全に、かつ良いクオリティで撮れるのかというところに挑戦してみたいなと。
――監督とIC、両方の経験のある多賀さんならではの視点ですね。
多賀 日本では今、ICが少ないですし、特に男性は僕1人なので、これから数が増えて、ICを選ぶ側の人が「この人はこういう分野が得意だから、こういう知識が豊富だから」と選択肢を増やせるようになればいいですよね。
まだまだICを起用することに対して「相談すると色々と大変なんじゃないか」という印象を持たれがちかもしれませんが、そうではなく、逆にスムーズにコミュニケーションを進めるサポートをする役目だという印象がもっと広がっていけばいいなと思っています。
撮影=志水隆/文藝春秋
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