映像作品内のキスやセックスなど、性的なシーンを撮影する際にサポートなどを行う仕事、インティマシーコーディネーター。アメリカの映像業界から始まり、近年は日本の撮影現場でも導入が進んでいる。

 今回インタビューした多賀公英さんも、インティマシーコーディネーターとして活躍するひとり。しかも彼は、日本初の男性インティマシーコーディネーターなのだ。

 インティマシーコーディネーターは性的なシーンを撮影する際、どのようなサポートを行っているのか。仕事をする上でどんな部分に難しさを感じているのか。多賀さんに話を聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く

ADVERTISEMENT

多賀公英さん ©志水隆/文藝春秋

◆◆◆

「擬似性行為のシーンで正常位の形になるようなときは…」ICが現場で果たす役割

――撮影当日には、インティマシーコーディネーター(以下、IC)としてどんな仕事をしているのでしょうか。

多賀公英さん(以下、多賀) 事前の面談から時間が空いてしまっていることもあるので、心情の変化やシーンの変更がないかなどを確認するために、現場に着いたらまず監督や俳優に「何か変わりはないですか」とご挨拶をするところから始めます。

 それからインティマシーシーンの段取りが始まるのですが、ここでは俳優が実際に体勢を取ったりなどして確認を行なっていきます。例えば擬似性行為のシーンで正常位の形になるようなときは、俳優同士の体がなるべく直接触れ合わないようにクッションを挟ませてもらったり。

――かなり細かい気遣いをされているのですね。

多賀 本番では挟めないこともあるのですが、なるべく段取りなどの時はそういう風にしていますね。

 それから前貼りやガードが必要な場合は衣裳部屋などで準備して、テスト、本番と進んでいきますが、テストの段階からは「クローズドセット」といって、俳優への配慮のため、最小人数のスタッフで撮影を行う体制を作ってもらっています。

 いつもなら、撮影をしている部屋にいる人やモニターを見ている人を入れると、数十人くらいいるところを、人数を制限をして、モニターの配置なども変えてもらいます。