映像作品内のキスやセックスなど、性的なシーンを撮影する際にサポートなどを行う仕事、インティマシーコーディネーター。アメリカの映像業界から始まり、近年は日本の撮影現場でも導入が進んでいる。
今回インタビューした多賀公英さんも、インティマシーコーディネーターとして活躍するひとり。しかも彼は、日本初の男性インティマシーコーディネーターなのだ。
もともと助監督や監督として映像作品に携わっていた多賀さんは、なぜインティマシーコーディネーターになろうと思ったのか。インティマシーコーディネーターとしてどんな作品に関わっているのか。話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から続く)
◆◆◆
ニューヨークの映画の専門学校に通い、映画制作について学んだ
――多賀さんご自身のキャリアについてお聞きしますが、インティマシーコーディネーター(以下、IC)になる前はどんな仕事をしていたのでしょうか。
多賀公英さん(以下、多賀) 初めて映像制作の現場に入ったのは、制作助手というポジションで、2014年公開の映画『クローズEXPLODE』という、豊田利晃監督の作品です。
その後、ニューヨークの映画の専門学校に通い、映画制作について学びました。そのあとは日本でフリーの助監督として活動し始めたのですが、英語が話せるので海外の広告案件や、アメリカの映画に参加し、自分の監督作品も作りながら7年くらい活動させていただきました。
それから縁あって、今は「分福」という是枝裕和監督の会社に監督として所属しながら、ICとしても活動をしています。
「こういうことをやる仕事があるんだ」ICの資格を取得した“きっかけ”
――多賀さんがICという仕事を志したきっかけは何だったのですか。
多賀 日本に帰ってきて10年ほど経った頃に、短編映画を撮ろうとしていたことがあって。インティマシーシーンがある作品だったので「どうやって撮るんだっけ」とリサーチをしている時に、浅田智穂さんのインタビュー記事を読んだんですね。
ICという仕事について少し聞いたことはありましたが、深くは知らなかったので「あっ、こういうことをやる仕事があるんだ」と。
――そこから興味が湧いたのですね。
多賀 「どうやって資格を取るんだろう」と疑問に思って調べてみたら、アメリカのIPA(インティマシー・プロフェッショナルズ・アソシエーション)というところで取れることがわかって。
「でも円安だしなぁ、今はちょっと難しそう」と思っていたら、その数ヶ月後に、浅田さんが尽力してくれたおかげで日本でICの資格取得ができるようになって。

