「『日本の映像業界、面白いからおいでよ』と言いづらい」撮影現場の労働環境を疑問視
――すごいタイミングですね。
多賀 そうですね、それで縁を感じたこともあり、資格を取得することに決めました。
――もともと、日本におけるインティマシーシーンの撮影に問題意識を抱えていたのでしょうか。
多賀 うーん、インティマシーシーンだけではないのですが、ずっと映像業界自体のルールや構造といいますか、パワーバランスのようなものに疑問を抱いてはいました。
労働環境については、2023年に、労働環境の改善を目指すために「日本映画制作適正化機構」(以下、映適)が設立されましたが、映適が作成したガイドラインを見ると、映像業界が今までどのような環境だったかがわかると思います。
アメリカだと俳優のユニオンがあったり、例えば撮影が終わった時間から次の日の集合時間は最低でも12時間空けるとか、残業代など基本的なルールや契約があるんですけど、日本は映適が作られる以前はほとんど何もなかったと思います。
――アメリカで学ばれていたからこそ、より問題意識が芽生えたのですね。
多賀 アメリカだと自主映画の現場でもしっかりとしたルールを守っていたので、そういうのを見た立場からすると、これから社会に出てくる若い世代の人に「日本の映像業界、面白いからおいでよ」と言いづらいといいますか。
せっかくこの仕事を選んだのに、楽しくないのは嫌だなと。そういう環境の劣悪さって、インティマシーシーンにおけるパワーバランスのいびつさやコミュニケーションの不足とも全部繋がってくると思うんです。
「不自然に布団をかぶってたり…」日本のベッドシーンへの違和感
――俳優やスタッフの権利が守られていないからこそ起きる問題ですものね。
多賀 そうですね。何か1つでも環境改善のための手助けになれる役割があるならやりたいなと思って、ICの資格を取ったところもあります。
あとは、日本の作品に出てくるインティマシーシーンを見ていて、違和感や不自然さを覚えてしまうことがあって。
――どういうところでそう思われましたか。
多賀 うーん、何だろう……例えばベッドシーンで、不自然に布団をかぶってたりとか。
