「ICを入れるのはハードルが高い」と思われる可能性も…ICという仕事の難しさ
――逆に、ICのお仕事をする中で「向かい風だな」「難しいな」と感じる瞬間はありますか。
多賀 やはり、ICを入れることによって金銭的負担も手間も増えてしまうので、そこをマイナス面に捉えられないような工夫をしています。最初は「ICを入れるのはハードルが高い」と思われるかもしれませんが、最後には「入れてよかったな」と思ってもらえるように心がけていますね。
――中には、ICの起用を嫌がる監督もいるのでしょうか。
多賀 いらっしゃらなくもないと思います。監督によっては「こんなのは昔からやっていたから」ということを言われる方もいらっしゃいますが、現場に入らせてもらうとそこで信頼関係が生まれていって、最終的には、そういう方ほどすごく気を遣ってくださる印象がありますね。
――それは意外でした。
多賀 全体的には、温かい方が多いなと。とはいえ、僕が見ているところは一部ですし、実際に「ICを入れない」という選択をしている作品もたくさんあると思うので何とも言えないところもあるのですが……。
アクション映画にコーディネーターを入れるのと同じ
――2024年には、主演俳優がICの起用を希望したにも関わらず、監督が俳優を説得して希望を取り下げさせたことが明るみに出た映画もありましたよね。
多賀 はい。
――監督の立場からすると、俳優部との間に誰かが入ることによって、心理的な距離が生まれるように思えてしまう部分もあるのでしょうか。
多賀 確かに、監督側からすると第三者が入ることによって「俳優部と距離が生まれてしまう」「コミュニケーションを制限される」という印象を持たれているのかな、と思うことはありますね。
でも例えば、アクション映画の撮影のときにアクション・コーディネーターを起用しないという選択ってしないと思うんですね。
――俳優がケガをしないよう、安全に撮影を行うために絶対に必要ですよね。
多賀 そうですね。インティマシーシーンについても同じで、ICは監督が撮りたいイメージを、俳優の心身を守りながら撮影を行うサポートをするスタッフという風に考えてもらえれば嬉しいです。
撮影=志水隆/文藝春秋
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