2018年上半期、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。政治・国際部門の第1位は、こちら!(初公開日:2018年6月15日)。
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現在発売中の「文藝春秋」(2018年7月号)に、私は「小池百合子『虚飾の履歴書』」を寄稿した。小池百合子都知事の「カイロ大学卒業」という学歴は事実ではなく、公職選挙法に違反している可能性が高いと指摘したものである。
詳しくは上記を読んで頂きたいが、今回は本文から割愛した部分を紹介したい。
自著の扉で「卒業証書」を披露
小池氏はこれまでも度々、学歴詐称の疑いをかけられてきたが、彼女はその度に「卒業証書を持っている」と主張し、疑惑をはねのけてきた。
だが、この「卒業証書」そのものに、私はいくつもの疑問を抱いている。
彼女は自著『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年、講談社)の扉で、最初にこの「卒業証書」を披露した。
それがAである。「あとがき」では、こう説明している。「正式の卒業証書が手に入ったのは、何と二年後であった。一枚一枚が手書きだからである」。
Aはご覧のように、小池氏がベールをかぶっている写真とコラージュされている。ベールの裾部分が不自然に広がっており、この裾で隠された部分には、学部長ほかのサインがあるはずなのだが、その肝心な部分がAでは見ることができない状態だ。また、裾の右下(「講談社」の文字の右斜め下)に位置しているアラビア文字は「学籍番号」を意味し、本来は、それに続いて小池氏の学籍番号が数字で書き込まれていなければならないはずだが、それがない。
二つの「卒業証書」には、明らかな相違点がある
次にBを見て頂きたい。これは、2016年に彼女が都知事選に臨んだ際、学歴詐称疑惑を打ち消すために、フジテレビ「とくダネ!」(2016年6月30日放送)で明らかにした「卒業証書」である。
当然、AとBは同一のものでなくてはおかしい。
実際、ふたつを比べると、アラビア文字の部分は、点の位置に至るまで書体はまったく同一であるように見える。
だが、この二つの「卒業証書」には、明らかな相違点がある。
それが右上のロゴマークだ。
ロゴマークの上部に注目して頂きたい。
Aのロゴマークの上部は、白地の中にダイヤマークがある。一方、Bのロゴマーク上部は、緑地の中に先端が丸みを帯びた白いV字が描かれている。
AとBのロゴマークは、明らかに違う。ということは、AとBは別物である、ということになる。