ベネズエラ攻撃の“本当の狙い”とは
同氏は、国家安全保障を理由にあげている。確かに、ベネズエラは、米国の敵対勢力の中国やロシアとの繋がりが深い国だ。特に、ベネズエラに融資している中国は、同国の老朽化した石油インフラを再建して、石油を得る目論見があると言われている。
トランプ氏も米国企業にベネズエラの石油インフラを再建させたいと考えているので、中国とは石油利権をめぐって真っ向から対立する。ロシアも長年ベネズエラとは緊密な関係にあり、昨年12月には、プーチン大統領とマドゥロ氏は経済・貿易・エネルギー分野で共同プロジェクトを進める意向を示していた。敵対勢力がトランプ氏が米国の“裏庭”と考えるベネズエラで活動していることに、同氏は国家安全保障上のリスクを感じたのだろう。
実際、ベネズエラは麻薬の生産国というよりも、麻薬の通過拠点で、その大半がヨーロッパへと密輸されている。麻薬の密輸容疑を理由にマドゥロ氏を逮捕したというのは、敵対勢力と関係が深いマドゥロ政権を転覆させるための口実に過ぎず、トランプ氏の真の狙いは、ロシアと中国の影響力をベネズエラから排除することにありそうだ。
グリーンランドもまたトランプ氏は米国の“裏庭”とみなしている。トランプ氏は、温暖化で氷が溶解することにより米国と欧州を繋ぐ重要な海上航路となる北極海航路を、国家安全保障上、中国やロシアの影響下に置きたくないと考えているのだ。
また、北極圏には先端産業製品に必要なレアアースなど、現在、米国がその大半の供給を中国に依存している鉱物資源が眠っており、脱中国依存を図りたいトランプ政権としては、経済安全保障上も、グリーンランドを欲している。
トランプ外交にちらつく“既視感”
ところで、世界が大国で分割されることに繋がるトランプ氏の勢力圏外交だが、既視感はないだろうか?
イェール大学の歴史学教授グレッグ・グランディン氏は、ニューヨーク・タイムズに寄稿した意見記事の中で、トランプ氏がモンロー主義を復活させて、西半球を米国の勢力圏とし、中南米での軍事行動を正当化させていることについて、「米国が世界を力で分割する19世紀型の帝国秩序に戻そうとしている」と訴え、この状況は新たな世界大戦へと繋がりかねないと懸念を示している。新たな世界大戦とは、言うまでもなく、第三次世界大戦ということだ。
