大統領に就任して1年、トランプ大統領はやりたい放題な政策で、世界を掻き乱している。

 年明け早々、トランプ氏は違法ドラッグを米国に密輸しているという理由でベネズエラに対して不意打ちの軍事作戦を仕掛けて世界を驚かせた。もっとも、同氏は、攻撃は軍事作戦ではなく密輸という犯罪行為の首謀者であるマドゥロ大統領を逮捕するための法執行だと攻撃を正当化している。

2025年10月28日、米海軍横須賀基地に停泊中の原子力空母「ジョージ・ワシントン」で、米軍兵士らを前に演説するドナルド・トランプ米大統領(右)。左は高市早苗首相 ©時事通信社

 国際社会は、他国の大統領を拘束して米国の法律で裁くことは国際法違反と訴えて批判したが、トランプ氏は、そんな批判はお構いなしで、ベネズエラを「国家運営」するとまで豪語している。加えて、コカインの輸出国として悪名高い隣国のコロンビアに対しても、攻撃をちらつかせている状況だ。(全3回の1回目/つづきを読む

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同盟国を敵に回して領土拡大

 トランプ氏の支配欲は、日々の生活をベネズエラから輸入される石油に依存しているキューバにも向かっている。「キューバにはもはや石油も資金も渡らない。ゼロだ! 手遅れになる前に(米国と)取引をすることを強く勧める」と最後通告ともとれる発言をした。

 キューバにどんな取引を求めているのかは不明だが、トランプ氏が「マルコ・ルビオ米国務長官はキューバの大統領になるだろう」というSNSの投稿に「いい考えじゃないか」というコメントをつけてシェアしたところを見ると、キューバも米国の勢力圏に入れようという野心を持っているようだ。

 第一次トランプ政権時代から関心を示していたデンマーク自治領グリーンランドにも、トランプ氏は食指を伸ばそうとしている。軍事力を行使する可能性を示唆したり、購入の提案をしたり、米国のグリーンランド領有に協力しない国には追加関税を課すと脅しまでかけたりしている。トランプ氏は今や欧州の重要な同盟国も敵に回し、世界で孤立を深めている状況だ。

「ヨーロッパは干渉するな」という姿勢

 トランプ氏がラテン・アメリカに軍事介入したり、グリーンランドの領有に鼻息を荒くしたりしているのは、昨年、トランプ政権が打ち出した「国家安全保障戦略」の中で、「アメリカの卓越性を回復するため、モンロー主義を再主張し、執行する」と述べ、19世紀のモンロー主義に則って、西半球を米国の勢力圏に置く構想を示唆したことが背景にある。

 モンロー主義とは、1823年、モンロー大統領が提唱した“米国は欧州の問題に干渉しない代わりに、欧州も南北アメリカの問題に干渉してはならない”とする、米国と欧州間で交わされた相互非干渉主義の原則だ。トランプ氏はこのモンロー主義に倣って、自身が命名したドンロー主義(ドナルドとモンローを掛け合わせた造語)を訴えている。

 なぜ、これほどまで、トランプ氏は勢力圏拡大に躍起になっているのか?