「かつてのナチスや日本と同じだ」
実際、「イギリスやナチス・ドイツや日本も、第二次世界大戦へと突き進む過程で、自国版のモンロー主義を唱えていた」と同氏は指摘している。
歴史を紐解くと、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーは、東欧や中欧はドイツの勢力圏であるから英米は介入しないよう“ヨーロッパ版モンロー主義”とも呼べそうな主張をし、「ドイツの安全保障圏の回復」という大義名分の下、オーストリア併合、チェコスロバキア解体、ポーランド侵攻を行い、この動きは第二次世界大戦に繋がった。
日本も、1930年代、アジアを欧米の帝国主義から防衛するという大義名分の下、東アジアや東南アジアは日本の勢力圏と主張し、中国や東南アジアへ進出、この動きは、満州事変や日中戦争、そして太平洋戦争へと発展した。日本が主張した大東亜共栄圏構想は“日本版モンロー主義”と言えるかもしれない。
もっと歴史を遡れば、英国も、19世紀後半~20世紀初頭に、中東やインド、地中海などで大英帝国が管理している植民地は英国の安全保障圏であり、他国は介入すべきではないとの既得権を主張している。これは“英国版モンロー主義”と言えそうだ。
中国ロシアと衝突する可能性
これらの国々は、勢力圏宣言を行い、域外勢力を排除すべく、安全保障と防衛の名の下、主権や国際協調を無視して武力介入を行った。帝国主義政策をとったわけだが、それが世界大戦に繋がったことは言うまでもない。
確かに、このままトランプ政権が中南米は米国の縄張りだと主張すれば、同じく中南米に関与している中国やロシアも同じ主張をして衝突し、地域紛争は、第一次世界大戦や第二次世界大戦の時のように、大国同士の世界大戦へと拡大するリスクもあろう。特に、ベネズエラは石油資源が豊富で、中国やロシアとの繋がりが深いので、衝突の火種になりやすいかもしれない。
トランプ氏の支配欲はどこまで膨らむのか?
しかも、トランプ氏は、反政府デモが続いて多数の死者が出たイランを攻撃する姿勢も見せた。ドンロー主義は、西半球を超えて、東半球の中東まで及んでいるように見える。前述のグランディン氏も、ドンロー主義は中国を除いて世界規模で拡張されていくとしたうえで、以下のように予測している。
「ワシントン(米政府)は、世界的な覇権的地位から退くつもりはない。すでに崩壊した自由主義的国際秩序に代わり、ホワイトハウスは暗黙のうちにモンロー主義を世界規模に拡張し、西半球に限らず(中国を除き)地球上のどこであれ、脅威と見なしたものに一方的に対応する権利を主張している。
この主張自体は新しいものではない。対テロ戦争の中核をなしていた考え方でもある。しかし、説明責任もなく、外部の管轄にも服さず、多国間の拘束や義務から自由な形でこれを主張することは、米国が世界を、ラテンアメリカと同じように扱うつもりであることを意味する――すなわち、躊躇なく拿捕し、制裁し、殺害するということだ」
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