年が明けて間もなく、中国が新たな経済戦争を仕掛けてきた。日本への「レアアース」輸出規制である。
ハイテク産業に欠かせない重要物資を巡り、日中の鞘当てはどこへ向かうのか。深層を探った。
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経済部記者が解説する。
「1月6日、中国商務部は『軍民両用品』の輸出規制を厳格化すると発表しました。対象品目にレアアースが含まれ、日本経済への影響が不安視されています」
レアアース(希土類元素)は発光や触媒の性能、磁性が強力な物資で、現代ではあらゆる先端製品に使われる。だが事実上、中国が覇権を握る産業である。
「中国国内の埋蔵量が多いうえに、精錬過程でも世界をリードし、9割が中国で精錬されています」(同前)
大和総研は仮に中国からのレアアース輸入が1年間止まれば、日本のGDPを1.3%(約7兆円)押し下げると試算している。
中国当局の発表は「全面禁輸」を断言しない、独特の論法だった。
「中国は、あくまで今回の規制強化は『軍民両用品』が対象で、『日本の再軍備化と核保有の企てを阻止するため』だとしています。そして『民生品への影響はない』とも強調しています」(同前)
「軍民両用品の境目は非常に曖昧」
中国政府は今、輸出企業に対し、次の項目を報告するよう求めている。
(1)最終的にどのような製品に使用されるか。
(2)最終的な販売先企業と中間業者の情報。
(3)日本で生産した製品を米国など第3国に輸出するかどうか。
この規制で何が起きるのか。中国経済に詳しいジャーナリスト、高口康太氏は次のように分析する。
「軍民両用品の境目は非常に曖昧。例えばトヨタのランドクルーザーは自衛隊の車両としても使われています。(民生品への影響の度合は)当局の匙加減次第なので、中国の企業は萎縮や忖度をして、民生品の輸出も当面は止まってしまうかもしれません」
