昨年、日本国内で一気に注目された犯罪が特殊詐欺だ。警察庁の発表によると、昨年の国内被害額は約1213億円。これは11月末時点の数字なので、年間被害額はさらに多くなる。これらを手掛けているトクリュウ系グループの摘発も進んでいる。……だが、日本国内だけの警察捜査には限界もある。特殊詐欺の一部(もしくは、かなりの部分?)は、ミャンマーやカンボジアなどに点在する中華系の特殊詐欺拠点によって手掛けられているからだ。これらは「園区」と通称される。
私は従来、日本人の高校生が働かされていたミャンマーの園区の周辺事情(『現代ビジネス』2025年6月13日記事)や、園区からの対日特殊詐欺で約50億円を騙し取った当事者の話(『週刊現代』2025年7月7日号)を報じてきた。だが、安全上の事情もあって、園区の内部には潜入できないでいた。
元特殊部隊の男が潜入に成功
しかし、昨年末。私の知人がミャンマーに渡航して、園区の内部をがっつり見てきたのだ。すなわち、台湾の新北市市議(民進党)の林秉宥。中華民国軍の陸軍特殊部隊の出身で、人民解放軍研究で修士号を取得している、本来は軍事畑の人である。台湾国内では、中国が攻めてきた際のシミュレーション書籍としてベストセラーになった『阿共打來怎麼辦』(2021年刊)の製作にも携わった人物だ。過去に軍事関連の話題で2回ほど取材させてもらったことがある。
ひとまず外国人が普通に観光できるカンボジアとは異なり、内戦中のミャンマーの園区はまさにカオス。彼が訪問したタイ国境のカレン州の順達園区も、現地の軍閥の支配地域であり、通常の方法では渡航できない。昨年2月に日本人が働いている(=対日詐欺がおこなわれている)ことで話題になったKK園区とも近い場所であり、われわれ日本人にとっても参考になる話が多い。新北市内で、詳しい話を聞いた。以下はインタビュー形式でお送りしよう。
