なぜ園区に潜入できたのか?

——東南アジアの園区に国際的な関心が高まるなかで、今回ミャンマーのカレン州に行かれたわけですが、渡航は密航が基本。その後は現地にツテがないと身の安全が保てません。私は去年2月にKK園区の内部にツテを作って渡航を試みたんですが、国境のメーソット(タイ領)の街でタイ軍が大規模な警備を敷いていて諦めました。林さんはどうやって行ったんでしょうか?

 現地の軍閥のカレン民族解放軍(KNLA)とツテがあったんです。2021年に勃発したミャンマー内戦は、国軍と反政府軍(民主勢力と少数民族軍閥の混合)の戦いなんですが、当初は隣国の中国はこの双方の勢力を支援していた。しかし、中国は途中から国軍側に肩入れします。結果、反政府軍の側は武器弾薬が不足して、中国に対する不信感をつのらせた。結果、昨年夏ごろ、KNLAが関係者を通じて私たちに、物資の調達を助けてほしいと打診してきたんです。

ミャンマー・カレン州のKNLAキャンプで動画撮影する林秉宥(中央)。背後にスマホで写真を撮っている軍閥兵の姿が。林秉宥のFacebookより。

——軍閥としては、「敵の敵は味方」という理屈なのでしょうね。中国が当てにならなければ、台湾のチャンネルを開拓する。

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 私は台湾政府の人間ではなく、地方の民選議員なので弾力性のある立場です。われわれがやったのは、合法的かつ人道的な範囲での支援でした。KNLAに台湾の業者をいくつか紹介して、医療用品や電子機器を販売させた。物資はタイに持ち込んで、そこからはKNLAが自分たちで運ぶという形式です。

——なるほど。

 彼らは国際社会から相手にされていませんが、軍事独裁政権と戦っている。民主主義陣営の私たちは協力できる余地があります。なので、「台湾や他国と協力したいなら『特殊詐欺反対』の姿勢を示すことが極めて重要だ」とあちらに伝えたんです。特殊詐欺は台湾や各国の頭痛の種ですから、KNLAが詐欺反対を明確にしてくれれば、国際社会も付き合う価値を認識すると。

2025年2月28日、私がタイ領のメーソットから撮影した、ミャンマー側の中国系詐欺拠点「鑽石園区」と思われる施設と中国系カジノ。林秉宥が潜入した「順達園区」はここから数十キロ南にある。(筆者撮影)

——KNLAに限りませんが、軍閥が兵士を食わせていくのは大変です。ミャンマーの軍閥の場合、むかしはアヘン、いまは特殊詐欺園区への協力によって資金を得ている組織も多いようです。

 ええ。軍閥のなかには、詐欺園区からみかじめ料をもらっている勢力もすくなくありません。しかし、KNLA側はこちらのアドバイスに同意しました。なので、「詐欺に反対する姿勢の証拠を見せてほしい」と伝えたんです。

 やがてKNLAが、「順達園区」という特殊詐欺拠点を制圧しました。その結果、なかを見せてもらえることになったんです。そうなった経緯は、かなり行き当たりばったりでしたが、とにかく順達園区のなかを見られることになった。