雪国の駅長さんが“いちばん恐れていること”
「多少の雪ならば運行できますが、大量の積雪ではもちろん走れない。いちばん怖いのは、走っている列車が途中で動けなくなって立ち往生してしまうこと。そうならないように、予報を踏まえて運行の可否を判断しています」
実際、越前大野駅に取材で訪れた当日も、越美北線は越前大野~九頭竜湖間で運転を見合わせていた。越前大野駅周辺ではときに雪がちらつく程度。しかし、「列車を運行していると、途中で停まってしまう可能性があるために運行を見合わせています」(小林さん)というわけだ。
福井(越前花堂)~九頭竜湖間を結ぶ越美北線は、比較的雪の影響が小さい平野部から山間部へと分け入ってゆくローカル線だ。福井駅周辺では雪が降っていなくても、終点近くは大雪ということも珍しくない。
「北陸も広いもので、場所によって結構違うんですよね。越美北線だけでも山間部の駅では異常に雪の量が増えるところがあって。越前大野では5cm程度の積雪でも、例えば越前下山では40cmということもあるんです」
こうしたピンポイントの積雪状況などを踏まえながら、運行の可否から除雪作業の段取りなどを判断しているのだ。
社員総出で除雪を行うことも
雪が降れば、とうぜん除雪もしなければならない。道路には自治体などが委託する除雪車が走る。鉄道も線路の上はラッセル車が雪を掻き、ホームの上などもJRが委託する事業者によって除雪されている。これもまた、降雪時間や量の予報データを踏まえた計画が欠かせないという。
「ラッセル車を走らせるにしても、2時間後から大雪が降るというのにそれより早く走らせては意味がない。同時に、ラッセル車を動かせる社員は他の路線も同時に担当しているので、それも考えながら、いつラッセルを出すのかを考える必要があります。
ホームの雪は、無人駅もカメラで状況を注視して、必要ならば係員を手配する。雪の季節はそういうことをずっとやっている感じですね」(小林さん)
だいたい大雪が降るのは真夜中だ。夜中は列車も走らずお客もいない。始発列車に備えてラッセル車で線路を除雪し、ホームの除雪を終えなければならないのだ。
ホームの除雪は委託事業者に委ねてはいるものの、大雪が見込まれれば現業部門だけでなく支社の間接部門の社員も総動員。夜更けからすべての駅の除雪を行っている。委託業者よりも早く現地に向かうことができるからだ。
もちろん、駅長の小林さんもスコップを手に無人駅に向かう。行ける人が除雪に行く、総力戦だ。
「雪が降ると、駅まで行くのも大変なんですよね。クルマを運転して向かうのですが、深夜3時とかだから道路もまだ除雪されていない。どこからどこが道路なのかもわからなくなるんです。
除雪車の後ろをゆっくり付いていって、なんとか駅にたどり着く。そこからスコップや除雪機で雪を掻く。ホームや線路だけでなく、踏切道も除雪しないといけないので、大雪の予報があるときには本当に大変です」



